リハビリで重要!疾患と障害の違いまとめ
「疾患」に対しては医師による治療が中心となります。その疾患から生じる「障害」に対して専門的に関わるのがリハビリテーションです。
では、リハビリを進める上で対象とする「障害」とはどのようなものでしょうか。
障害についての誤解
ICIDH(国際障害分類)という「障害」の分類があります。これは障害を定義する画期的な考えで、国際障害者年世界行動計画(1981年)の基本概念として採用され、障害者運動を含めた関連の事業に大きな影響を与えました。理学療法士の間で、この分類は共通認識として用いられています。しかし、この考えが提唱された時に起きてしまった誤解が「疾患が固まったものが障害である」というものです。
現在でも、この誤解は一般的によくみられています。つまり、疾患の延長に障害があり、治らなくなったものが「障害」だと誤って認識されているのです。よく「障害が残る」という使い方がされていませんか?
では障害とはどのようなことをいうのでしょうか。
障害とは
障害という言葉は、その疾患や機能的な障害以外に、生活上の能力低下や社会的な不利を含む概念です。単に身体機能的な問題だけを指すのではなく、そこから生じた患者さんの生活上の問題すべてを含みます。
疾患とは
それに対して疾患とは「医療」を実施する上で、その病態を定義し名称をつけたものであり、その内容は固定されています。障害のように個人的な要素を含みません。
「障害」とは疾患により起こった生活上の困難、不自由、不利益を指す概念です。
疾患がそれ以上なおらない状態になったことを指す言葉ではありません。この誤解が「障害」という言葉の本来の意味を認知する妨げとなっています。
理学療法士はこの障害について関わっていく専門職です。その関わりは患者さんの生活を見据えるものでなくてはいけません。