リハログ

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はじめまして。yusukeです。柔道整復師/鍼灸師/理学療法士 3つの資格を取得。各種養成校の学生向けに「リハログ」を運営しています。30代一児の父として頑張っています。

セラピストの業務範囲を理解する!一次性機能障害と二次性機能障害についてまとめ

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一次性機能障害(一次性障害、一次性impairment)と二次性機能障害(二次性障害、二次性impairment)の概念は柔道整復師鍼灸師の養成校でも学習する機会があると思います。

しかし、これらを明確に整理して対象者の問題を捉えている柔道整復師鍼灸師は少ないのではないかと思っています。

これは、理学療法士では医師が一次性障害に対して治療した後に主に二次性障害に対して介入することに対して、

柔道整復師では外傷に対して処置する場面があり、一次障害への治療に直接関わるため混乱しやすいこと。また、養成校でこれらの知識についての学習時間が少ないことが理由として考えられます。

鍼灸師では慢性疾患の方に施術することが中心であり、医療施設との関わりも少ない傾向があるため認識が低いと考えられます。また独自の東洋医学を考え方の基本にしていることも理由として考えられます。

しかし柔道整復師鍼灸師も地域での医療に関わる職種であり、医療との連携が今後より必要となってくる中でこの概念は非常に大切だと思います。

じつは在宅での医療の中心となる、いわゆる維持期の患者さんでも一次性機能障害と二次性機能障害は混在していて、改善することが難しい(あるいは回復を待つしかない)「一次性の問題」と、悪化の予防や改善の見込みがある「二次性の問題」は明確に整理する必要があります。

どの問題点に治療を加えて、それはどこまで回復の余地があるのかを明確にすることは柔道整復師鍼灸師として介入する上で重要だと思います。

なぜなら医師の診断下ではなく自身で治療が完結してしまうケースがあるからです。

今回は一次性機能障害と二次性機能障害についてまとめてみようと思います。

 

一次性機能障害

一次性機能障害…疾患が直接的原因となって生じる機能障害です。

例:

脳梗塞では、運動麻痺や感覚障害など脳の障害部位によって直接起きている機能障害。

⓶骨折では骨折した部位そのものの問題。

二次性機能障害

二次性機能障害…疾患が直接の原因とはならず、廃用過用によって起こる機能障害です。

例:

脳梗塞では、運動麻痺により関節を自身で自由に動かせず、それにより廃用が進んで拘縮が起きる場合。

⓶骨折では、ギプス固定を長期に実施した後の廃用による拘縮、筋力低下。

廃用とは(廃用症候群

廃用症候群(disuse)とは「不活動状態により生じる二次障害」つまり、使わないことによって生じる障害です。

これにより、二次的におこる身体及び精神機能の障害の総称を指します。

身体も精神でも使用しなればあらゆる機能は衰えてしまいます。

廃用症候群を起こす状況とは、

①無動・不動

例えばギブス固定、運動麻痺、意識障害による動作制限など

②低活動

例えば運動不足、高齢者、疾患(脳卒中心不全、呼吸不全、生活習慣病)など

③臥床

身体長軸方向に重力負荷がかからないためおこる

の3つです。

具体例としては以下のようなものがあります。

骨格筋

筋萎縮、筋力低下

局所性廃用

骨格筋・関節包・靭帯・皮膚

関節拘縮

廃用性骨萎縮(骨粗鬆症

皮膚・皮下組織

褥創

全身性廃用

心臓・肺

心拍出量低下、換気量低下

うつ傾向、知的活動低下

骨折を例にあげると以下のようになります。

①骨折などによる一定期間のギブス固定、荷重制限

↓(局所性廃用)

⓶筋萎縮・関節拘縮などを生じる

③日常生活活動の全般が低活動となる。

↓(全身性廃用)

④心肺機能などの低下

(※全身運動能力の低下)

⑤さらなる廃用の進行(局所性廃用もさらに進む悪循環)

過用とは(過用症候群)

過用症候群(over useオーバーユーズ)とは「使いすぎること、過負荷によって生じる二次障害」つまり、過用によって生じる障害です。

神経筋疾患では損傷した神経・筋に、過度の負荷がかかり筋力低下などが生じやすくなります。これを易損性による筋力低下というのですが、この例などが過用症候群を生じやすい一例となります。

まとめ

上記のように疾患からきている一次障害の問題そのものは介入できる限界があります。

これを明確にしていないと自身の業務範囲を超えてしまい、医療施設と連携すべき患者さんを抱えてしまうことになりかねません。

柔道整復師鍼灸師が地域の医療と連携し役割を得ていくには、この業務範囲の理解が重要です。そのために一次障害、二次障害を区別することは重要だと思います。

今後、生き残っていくためには最低限の鑑別能力や自身の業務範囲の理解は必須であると考えられます。