よく聞くADLやselfcareって何?ADLとAPDLの違いまとめ
ADL(日常生活動作)とは、理学療法を行う上でとても重要な概念です。
理学療法士は基本的動作を改善することが仕事ですが、それだけでは患者さんの生活はよくなりません。
(基本的動作とは、寝返り動作、起き上がり動作、立ち上がり動作、しゃがみ動作、移動動作の5つを指します。)
このADLを見据えて実施してはじめて、患者さんの生活がよくなります。
そのため理学療法士間では共通認識として非常に重要な考え方です。学生時代は皆、このADLについてかなりの時間学習します。
今回はADLについて紹介します。
定義
1976年に日本リハビリテーション医学会により以下のように定義されています。
「ADLはひとりの人間が独立して生活するために行う基本的な、しかも各人ともに共通に毎日繰り返される一連の身体的動作群をいう。この動作群には、食事、排泄などの目的をもった各作業(目的動作)に分類され各作業はさらにその目的を実施するための細目動作に分類される。リハビリテーションの過程や、ゴール決定にあたって、これらの動作は健常者と量的、質的に比較され記録される」
要は、「独立して生活する上で共通した、人として当たり前に行う動作」ということです。また、健常者と比較して判断するということが重要です。
また、このADLには広義と狭義の意味があり、内容がやや異なります。
広義のADLは、①selfcare(身の回り動作)と②APDL(生活関連動作)に分けられます。
このうち①を狭義のADLと言い、単にADLと言うとこの狭義のADLを指していることが多いです。
概要はこんな感じですが、全く内容がつかめないと思います。
とりあえず以下にそれぞれ詳細をまとめてみます。
selfcare(身の回り動作)とは
入浴動作、整容動作、トイレ動作、食事動作、更衣動作の5項目のことで、文献によっては起居、移動を含む7項目とする場合もあります。
これは「一日の生活において誰でも当たり前に行う、自分自身が自分のこととして行いたい動作」と言えます。
つまりこのどれができなくても、自立して生活することは難しいのです。
このどれかを手伝ってもらうということは、いわゆる介助がいる生活ということになります。
よってこの項目の自立が理学療法の目的となります。
理学療法士間でADLの回復と言った場合、この項目を指しています。
ただし、看護師さんや介護士さんなど他職種でADLといった場合には、広義のADLを指している場合もありますから注意する必要があります。
APDL(生活関連動作)
掃除、買い物、乗り物利用、炊事、洗濯の5項目のことです。
広義のADLといった場合、さらにこの内容が含まれます。
そのため拡大ADLとも呼ばれます。
selfcareより広い生活圏での活動を指し、生活者として自立するための社会的諸活動に関係する項目です。
これらはselfcareを土台に達成できるもので、その意味で応用的なものと解釈できます。
まとめ
selfcareを生活上の基本動作とすると、APDLは生活圏での応用動作と言えます。
いずれも「基本動作の連続」で成り立っています。
例えば、「しゃがみ動作」という基本動作ができないため「トイレ動作」が自立できないというように思考を展開します。
要は難しくいっているだけで生活上絶対する必要のある動作を「ADL」としてまとめているだけです。
しかし、この基準となる考えを理学療法士間で共通して持っているというのは素晴らしいと思います。