柔道整復師が理学療法に興味を持ったきっかけ!僕が理学療法士養成校に通いなおすまでの話
僕は柔道整復師となった後、理学療法の養成校に通いなおしました。
その経緯と、なぜ興味を持ったのかということを自身の体験談になってしまうのですが、書いてみます。
今後目指そうと悩んでいる方の参考になれば幸いです。
柔道整復師の養成校時代
まず最初になぜ柔道整復師を目指したかというと、僕は高校生の時にスポーツで怪我をして整骨院に通っていました。
そこから興味を持って柔道整復師養成する専門学校に入学しました。
じつはその時は理学療法士という仕事を全く知らず、選択肢として考えることもありませんでした。
そんな僕がどうして理学療法を知ったかというと、じつはこの柔道整復師の養成学校で最初の出会いがありました。
なんと柔道整復師では国家試験科目として、「リハビリテーション医学」という科目があるんです。
現在ではどうかわからないのですが、当時この科目は理学療法士の方が担当されていました。
なので多くの柔道整復師は一回は理学療法士に関わる機会があるのではないでしょうか?
僕はそこで理学療法士を初めて知りました。
リハビリテーション医学ではその名前の通り、理学療法で重要となる障害についての考え方など、リハビリテーションの概要を学びます。
当時はその授業内容に魅力を感じることができず、というか充分に理解できていませんでした。
しかし、その理学療法士の先生は授業の内容と一緒に病院での経験や理学療法という仕事を紹介してくれました。
これがすごく面白くわくわくするような内容でした。
その中でも、歩行分析について話してもらった時、衝撃を受けたのを今でも覚えています。
動作を分析して、その動作を変えることができるという事に驚きましたし、なにより解剖学・運動学の知識を使いこなしていることに感動しました。
柔道整復師の養成校に通いながら、解剖学・生理学・運動学を学ぶなかで、それが柔道整復師としての臨床でどう生きてくるのか、当時の僕は知識が不十分であったためわからりませんでした。
そのことについて悩んでいたこともあり「もしかしたらこういうことをもっと知りたいのかもしれない」と思うと同時に、理学療法士はすごい!という印象を持ちました。
しかし、柔道整復師として開業して独立したいという夢を当時強く持っていたので、まず柔道整復をしっかり勉強しようと思い気持ちが揺れることはありませんでした。
柔道整復師でしっかり鑑別して適切に処置している先生もおられたので、目指す方向はそこでした。
卒業後
柔道整復師となり、実家をでて自立するとともに、今まで助手として勤めていた整骨院をやめることになり新たな整骨院で働き始めました。
そして初めて施術に関わることになります。
今までは助手として働いていたため、わかっていませんでしたが実際働いてみると自分の無知や未熟さに気づいていきます。
最初の整骨院ではルーティンにみえた処置・後療法も知識がなければできないことに気づき悩みまくりました。
解剖学・生理学・運動学を生かした考え方が全くできず、今まで見せてもらってきた処置や後療法を思い出してそれを元にやるしかありませんでした。
その中でも後療法つまりリハビリが全然専門的といえる内容ではありませんでした。
そんな時に、再び理学療法士との出会いがあります。それはセミナーでの出会いでした。
幸運にも他の大学で教授をされているような理学療法士のセミナーに参加することができ、その考え方に触れることができました。
そこでまた圧倒的な知識に驚きました。
しかし開業を目指していた僕は、まだ理学療法士の養成校にいこうという思いにはいたりませんでした。
その後、経験を積むとともにお金を貯め、鍼灸師の養成校に通うことに決めます。
鍼灸師の養成校時代
ここでまた生活が変わります。学校を決め、そこに通学することを考え職場を変えることになりました。
この時、以前卒業した柔道整復師養成校で職場を紹介してもらったのですが、親身になって一緒に探してくださりとてもありがたかったのを覚えています。
そして、そこで通学しながら働ける場所として紹介してもらった職場がなんとデイサービスでした。
当時、柔道整復師は機能訓練指導員として働けるようになった頃で、情報に疎かった僕は最初は整骨院や整形外科以外の選択肢があることに驚きました。
しかし、そのデイサービスは柔道整復師の方が経営されており、理解がある職場でしたので初めての業界でしたが飛び込むことができました。
そこで様々な経験を積むことができたとともに、また悩みます。
今まで全然出会ったことが無い症例に出会いまくるのです。
正直柔道整復師として、今まで整形疾患しか出会ったことがありませんでした。そんな僕がいきなり脳血管疾患やパーキンソン病、ALSに対して訓練する必要がでてきます。
そこで一緒に働らくことになった柔道整復師がよく勉強されている方で、教えてもらいながらなんとか対応していけましたが、最初は何をしたらいいのか途方に暮れたのを覚えています。
ここでさらに圧倒的な知識の不足に気づくことになります。疾患の知識は調べれば概要を知ることができます。
しかし、リスクについてはおおよそ知れるのですが、危うい。
これが一番怖かったです。
そしてやっぱり解剖学・生理学・運動学の知識をつかって訓練を考えるということが難しい。
特に神経系の知識は無知すぎて本当に困りました。
そんな経験をしながら鍼灸師の養成校に通い続けます。しかし、自分の中では理学療法の事が思い出されていきます。
そんな時に、偶然にも鍼灸の養成校で柔道整復師養成校時代に「リハビリテーション医学」を教えて下さった理学療法士の先生と再会します。
じつは、鍼灸師の国家試験でも「リハビリテーション医学」という科目があるんです。
まさか違う学校なのに同じ先生に教わるとは。
また先生はいろいろ教えてくださいました。
今度はデイサービスで働いていたこともあり、授業の内容も理解しやすくなっていて理学療法への興味もまた強まりました。
卒業後
そしてついに卒業しました。
しかし、しばらく整骨院としての勤務をしていなかったため浦島太郎状態になっていて、業界の情報を聞きながら開業の準備を進めることにしました。
しかし、現状は外傷の患者さんがこない時代になってきたことや、手技療法で自由診療での方向に移行していく院が増えているなど、自分の思っていた整骨院を経営するのが厳しい環境となっていることを知ります。
それでも夢だったので、友人と一緒にではありますが開業しました。
しかし、外傷にこだわるとやはり厳しく結局一年ほどで廃業してしまいました。
経営状況もありましたが、なにより自身にこだわりがあるために友人との経営に対する方向性がずれていきました。
経営に対しての考えも甘く、何もわかっていませんでした。
幸い初期投資は少なかったのでなんとかなったのが救いです。
その後、少し柔道整復師の仕事から離れます。
その間は、鍼の方で仕事をしつつ開業資金としてお金を貯めていたのですが、柔道整復師として自分がやりたい方向性で突き抜けるのは現状の能力や知識では難しいという考えに至りました。
もっと柔道整復師としての知識や経営能力があればやれたと思いますが、今の自分では厳しいことに気づきました。
そこでいろいろ今後の方向性を模索する中で、学びなおしたいと思い、思い切って一から「理学療法士」として勉強しなおすことに決めました。
実際、理学療法士養成校に通ってみて
正直ここまで柔道整復師としてやってきて挫折だらけでした。
すべては自身のいろんな方面の無知のせいです。
勉強も頑張りたいとは思っているけど中途半端。いつも焦ってばかりいました。
そんな自分を変えるために理学療法士の養成校では必死に勉強しました。
勉強自体は思っていた通り学びたかったことが学べたり、今まで悩んできたことの答えが得れたり、今まで勉強してきたことが整理されたりして非常に楽しかったですが、年齢も重ねており勉強量も多いためハードではありました。
また、理学療法士は飽和状態といわれていましたが、まだまだ選ばなければ就職先は十分にありますし、しっかり勉強していればある程度納得いく就職先にいける人も多いと思います。(公務員待遇になるようなところは狭き門ですし、年齢の壁もありますが)
雇われる分には柔道整復師、鍼灸師より安定しているのも事実です。
しかしリハビリの点数が下がっており今後が厳しいというのは事実で、その現実にも直面します。
といってもどの業界も厳しい時代ですし、あとは勉強した事を生かして自分でどう活動していくかです。
それは柔道整復師や鍼灸師としてそのまま続けていても同じでしたので自分としては覚悟はできていました。
勉強したいのではなく、安定を求めたいのであれば違う仕事をおすすめします。
しかし、真剣に勉強していきたいという方には非常におすすめです。
勉強している人にもたくさん出会えますし、資格をとってからのキャリア形成の場が多く用意されています。学び続けることができる職種です。
この卒後の教育やキャリア形成の場が多い点が柔道整復師・鍼灸師との違いの中で最大のメリットであると思います。
とはいえ、人により仕事に求めていることは違うと思います。
だからこの道がいいとも安易には言えませんが、僕としてはよかったと思っています。
この記事が、悩んでいる方の一つの視点となれば幸いです。
以下の記事で柔道整復師と理学療法士の違いについて書いていますので、よろしければ参考にしてください。