リハログ

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はじめまして。yusukeです。柔道整復師/鍼灸師/理学療法士 3つの資格を取得。各種養成校の学生向けに「リハログ」を運営しています。30代一児の父として頑張っています。

障害受容について。理学療法士が患者さんの心理的側面を想像するために知っておくこと。

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障害受容とは、重篤な疾患や外傷により自分の体が変わってしまった場合に、それの事実を受け入れて前向きに捉えられるようになることです。

例えば、身体の一部を失ったり、永続的な麻痺が残存した場合などです。

 

理学療法士は様々な障害と戦う患者さんのサポートをする上で、心理的な側面を理解しておかなければなりません。

しかし、そのような境遇になったことのない多くのセラピストはその状況を簡単には理解できません。

そのため理学療法士の養成校では「障害受容モデル」という考え方を学びます。この考え方では障害受容の過程を段階的にモデル化してくれています。

 

実際の患者さんは個人差もあり、必ずしも当てはまるというものではありませんが、患者さんの心理状態を想像するためには理解しておかなければならないと思います。

今回は「障害受容モデル」についてまとめてみます。

 

障害受容モデル

まず、「障害受容」とは価値観の転換であり、あきらめや居直りによるものとは区別されます。

これらの大きな違いは、心理的克服によって積極的に行われているという点にあります。

※障害受容モデルは必ずしも誰もが当てはまるわけではありません。

※障害を受け入れる過程を理解するためのイメージですので、内容の閲覧についてはその点をご了承ください。

以下にまとめてみます。

①ショック期

自身がどういう状況なのかまだ理解することができず、理解できていないがゆえに不安もなく、健常な時と同じ状況に近いといえる状態です。

②否認期

この時期で例えば上・下肢の運動麻痺や身体の一部の欠損といった状況に気づきます。

しかし、回復過程にあるので今の状態に絶望するような状況にはなっていません。

徐々にその変化を受け入れ始めますが、葛藤が生まれてきます。

この時期は、まわりへの反発や治るのではないかという夢にすがってしまいやすいと言われています。

③混乱期

この時期では、自身の変化を受け入れざるを得なくなります。

完治が不可能であることを否定しきれなくなります。より、周りへの反発が強くなり、他人に責任を求めたくなり人にあたります。

強い怒り、恨みの感情をぶつけます。

また、内向的な形で表れると、自分を責めうつになったり自殺を考えたりすると言われています。

④解決への努力期

他者を責めることや自分を責めることでは解決できないことを悟り、自分を前向きにしていかなければならないという考えにいきつく時期です。

依存から抜け、自立していく時期とも言えます。また、自立したことで努力する方向に変化していきます。

自分の状況を理解し、その上でどうしていくか前向きにとらえ希望を持っていきます。

⑤受容期

価値観の転換が完成する時期です。

新たな自分を確立して、生活に生きがいを感じられるようになります。

まとめ

今回は障害受容モデルをもとに脳梗塞の例で紹介しました。

これらのことを整理した時、僕自身が理解したことは、「障害に対する感情」と「人生を歩む事」を一度切り離して、そしてその上で再構築する事が障害受容なのだと思いました。

人は健康な今の状況ですらなかなか受容して前向きに考えることは難しいのではないかと思います。そのことから考えると、身体に障害を抱えている方がその現状を受容することはそのレベルより遥かに難しい事だと思います。

これを乗り越えるのは並大抵のことではありません。

この状況を克服しながら理学療法を受けてくださっていることを、決して理解しきれるわけも無いですが、考えながらリハビリを提供しなくてはならないと思います。