柔道整復師が鍼灸師の学校にいってみた。ダブルライセンスってどう?
僕は最初に柔道整復師の養成校を卒業して、鍼灸の養成校に行きました。
今回は、柔道整復師からの目線になりますが、鍼灸の学校の話とダブルライセンス(柔道整復師+鍼灸師)について書きます。
ただし養成校の経験談に関しては、7年以上前の情報になります。その点はご了承ください。
柔道整復師出身者は多い?
入学してクラスを見渡すと、新卒の人以外では何かしらの資格を持っている人が多かったです。
中でも柔道整復師は多かったのですが、柔道整復師の養成課程を持っている学校に入学したためだったのかもしれません。
しかし、当時でも柔道整復師+鍼灸師のダブルライセンスはあまり珍しくなくなってきていました。
僕のクラスではその他に、リハビリ職種、看護師、介護福祉士、エステティシャン、スポーツトレーナーがいました。
意外と看護師さんが数名いたのを覚えています。
勉強の難易度は?
解剖学・生理学といった基礎科目は、柔道整復師と同じ内容です。
鍼灸の基礎科目は柔道整復師や理学療法士と比べ比較的易しい傾向がありました。
柔道整復師と同じく鍼灸師専用のテキストがあり、その範囲で国家試験も問われています。
また、他にも内科や整形外科を含む臨床医学や、リハビリテーション医学、衛生学、病理学などは柔道整復師と内容が重複しています。
そのため重複している科目ではあまり苦労することはありませんでした。ただし東洋医学系の科目では全く予備知識がないため、それなりに勉強が必要でした。
なので、この東洋医学の科目が好きかどうかで難易度は変わると思います。
どんな科目があるかというと、まず経穴(正穴)361穴の位置と、そこにある神経や筋肉などを覚えます。
これは筋肉の起始停止・作用・支配神経を覚えるのと同程度かそれ以上くらいのボリュームがあります。
他には東洋医学の概念について学んだり、鍼灸におけるエビテンスの基礎や道具の詳細、疾患別の配穴などを勉強します。
これらの科目が独特で、エビデンスベースではなく、古典をベースとした内容なので好き嫌いがかなり分かれます。
柔道整復師は、整形外科的な内容を基礎とした資格のため、この医療とは離れた独自の考え方に疑問を持ってしまう人も多かったです。
また、逆にその神秘性に魅力を感じ東洋医学にのめり込む人もいました。
最近では養成校に通う生徒の学力低下が問題になっているようですが、当時はまじめな方が多くそこまで感じませんでした。
ただし、一年目に鍼灸の世界が肌に合わずやめていく人は数名いました。
留年は少ない?
これは学校ごとに違いがあると思うので、一概には言えませんが、僕のクラスの場合は留年する人はいませんでした。再試験(有料)があり、それで救済されていました。
そのため勉強をあまりしていない人は、卒業まではいけるのですが、国家試験で苦労することになります。
今年の第26回国家試験は「はり師57.7%」「きゅう師62.5%」とかなり下がりました。以前は70%代だった試験も、近年では合格率はかなり下がっています。
これは問題が難しくなったのか、学生の質が落ちたのか、既卒者の受験が厳しいのか理由ははっきりしませんが、留年が無いことも一因だと思います。
鍼灸の養成校は学生を集めるのが大変だとよく聞きます。当時でも生徒が集まらずクラスの数が縮小されるなんてことも目にしました。
その現状を考えると、現在でもおそらくあまり留年自体は無いと思います。
開業志向の人が多い
新卒より有資格者でその傾向が強ったのですが、開業を目標にしている人が多かったです。
純粋な鍼灸院としての開業や、すでに持っている資格の補助あるいは副業としての開業などを考えてる人もいました。
雇われることを最終目標にしている人はほぼいませんでした。
雇われるなら他の資格の方が待遇がいいですし、それでも鍼灸でやっていきたいという人が目指していたように思います。
そのため僕のクラスでは一生懸命学業に取り組んでいる人が多い印象があります。
近年学力が低下していると聞きますが、鍼灸師の現状があまり認知されていないのでしょうか?
働きながら通える?
働きながら3年間通えます。また、クラスでも働いてる人が多かったです。
特に柔道整復師であれば学業にはやや余裕が出るため、働きながらでも通いやすいと思います。
その点は一応学校に問い合わせた方がいいですが、それほど心配はいりません。
また、最終的には奨学金を借りるという方法もあり学費はなんとかなる場合が多いです。
ダブルライセンスってどう?
柔道整復師+鍼灸師の組み合わせは、現在ではかなり多くなっています。
これは、柔道整復師が急性の外傷に保険適応ができることに対し、鍼灸師では医師の同意があれば慢性の疾患に保険適応ができるため業務範囲がバッティングしていないため相性がいいからです。
しかし、鍼灸の保険を適応することは医師の同意がいるため現状ハードルが高く、柔道整復師の保険もその適用範囲が限られており、診療報酬も以前より削減されているため保険に頼らず自費での施術を中心としている鍼灸整骨院が多くなりました。
そうなると鍼灸の資格は非常にメリットがあります。
また、スポーツの分野で活躍したい場合も鍼灸は注目されており、武器になります。
ただしそれは開業する場合に限ります。
近年ではダブルライセンスを持っている人が珍しくなくなり、鍼灸整骨院の現状も厳しいため、雇われる場合は二つの資格を取るほどメリットはありません。
それほど待遇がいいわけでもないからです。
そのため明確な目標がなく、なんとなく2つの資格をとると、投資した額に対して資格のメリットは得られない可能性があり、現在ではリスクも考えて取得しないといけません。
まとめ
しかし、両方の資格の現状を考えるとダブルライセンスに必ずしもメリットがあるとはいえません。
これから目指す人はリスクも考慮して、しっかり目標を見据えて取得する必要があるかもしれません。