【理学療法士】トイレ動作の前にチェック!尿意・便意が無い場合は、退院後介助者必須!?
トイレ動作って理学療法を進めていく上でポイントになることが多いと思います。
その際、ついつい起立・着座や立位保持、下衣の更衣、移乗などの動作に着目しがちですが、意外と重要なのがそもそも「尿意・便意があるのか」というところです。
今回は、リハビリを進める上で重要な「尿意・便意」についてまとめてみます。
トイレはなぜ重要なの?
回復期病院では、退院先(あるいは転院先)を想定してリハビリを進める必要があります。
そこでまずself-care(食事・トイレ・入浴。整容・更衣)を中心に、「現状の能力」を評価していきます。
そして評価の結果わかった「現状の能力」と、「入院前の生活」、「今後の転帰先の生活」を照らし合わせていきます。
ここで転帰先が自宅になる場合、self-careの中で一番ポイントになるといっていいのが「トイレ動作」となります。
入浴や食事は確かに重要ですが、一日に回数が決まっていて、通所施設などに頼りやすいといえますが、トイレはそうはいきません。
必ず介助者が必要となってきます。
介護度によっては一日に数回ヘルパーさんにお願いすることもできますが、夜間などどうしても家族の介助が必要になる場面がでてきます。
トイレ動作自体はポータブルトイレにするなど難易度を落とすことができますが、尿意・便意が無ければオムツが外せません。
なので自宅に帰るための必須条件がトイレ動作の自立になることが多く、尿意・便意があるかが自宅に帰れるかどうかの分かれ道になるケースはよくみかけます。
ついつい動作に着目してしまいがち
理学療法士としては、どうしても動作に着目してしまいがちで、上記に書いたように起立・着座や立位保持、移乗などの評価を優先してしまいがちです。
しかし、もしトイレにいくことが退院の条件になりそうな場合は、尿意・便意の有無を必ず確認しておかなければなりません。
これは多くは認知面の問題を抱えるケースで重要になってきます。
評価としては、病棟での動作に介助を要する場合、コールを押してナースに自分から依頼できているかどうかです。
恥ずかしくて押せず、失禁してしまうような場合もあるので、患者さん本人やナースに日々のトイレの状況を詳しく聞いておかないといけません。
またリハビリ時に、トイレの訴えの確認をしておくことも有効です。
これらを、丁寧に実施することで尿意・便意があるかどうか把握できてきます。
尿意・便意があれば、その後トイレ内の動作を確認していきます。
尿意・便意なく自宅に帰るとどうなるの?
尿意・便意が無くても自宅に帰ることは可能です。しかし、トイレに行きたいかどうかわからないということは、常に尿や便を漏らしてしまうことになります。
なのでオムツ着用となり、家族が常に交換しなくてはいけない状況となります。
清潔にする必要もあり、その介護は重度なものとなることは容易にイメージできます。
もし交換しない場合、常にオムツは不潔な状態となります。
他にも重要なポイントはあるの?
動作面はもちろん重要で、起立・着座動作や移乗・立位保持ができることで介助量はかなり軽減します。トイレ動作を遂行するためにもこれらの評価は重要になってきます。
しかし、その前に見落としやすいのは、寝返りや起き上がりが十分できるかどうかです。
これらができない場合、いわゆる寝たきりの状態となってしまいます。
そのまま自宅に帰れば常に家族が体動を手伝わないと、褥瘡リスクがたかまってしまいます。
これもかなり重度な介護を家族に強いることになります。
まとめ
今回は、動作を評価する前に重要なポイントとなる尿意・便意の有無について書いてみました。
ついつい動作面ばかりみてしまいがちですが、自宅での生活を考えると非常に重要なポイントとなりますし、ご家族と今後の事を話し合う場面でも伝えるべき情報となります。
患者さんの生活を想定して、適切なリハビリを提供できるよう頑張ります。