リハログ

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はじめまして。yusukeです。柔道整復師/鍼灸師/理学療法士 3つの資格を取得。各種養成校の学生向けに「リハログ」を運営しています。30代一児の父として頑張っています。

【理学療法】リラクゼーションやストレッチってなんでするの?

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よく「もみもみセラピスト」なんて比喩されますが、リラクゼーションやストレッチは重要な治療手段です。目的があれば、これらの手技はとても効果があります。

ただの慰安として医療の場面で行われることが問題視されていますが、その重要性を再度臨床で感じたのでまとめてみます。

 

 

ラクゼーションとは?

ラクゼーションとは筋の過緊張を緩和することで、皮膚や筋肉などの軟部組織を「ほぐす」ことです。

無意味にほぐすことは慰安でしかなく、リラックスさせるだけでは目的として不十分です。(医療現場以外でサービスとして実施することを否定しているわけではありません。)

 

それに対して、筋の過緊張が生じ筋の出力がうまくいかない場合や、過緊張により筋肉の痛みが生じている場合は非常に有効な手段になります。

 

例として大腿骨頸部骨折や転子部骨折の術後(THAやORIF)などの股関節の手術後では、術部の痛みのために周囲の筋肉に防御収縮が起こりより痛みを悪化させ筋の出力が困難になっている場合がよくあります。

 

こうなると、ベッド上で自動運動をしただけで強い痛みが生じることもあります。また立位がとれるようになっても術測荷重時に痛んだり、うまく筋収縮を起こせないということが生じます。

 

このような場合、まず筋や術部周囲の組織をリラクゼーションし、筋出力を発揮できる状態を作っていくことは重要な介入になります。

 

筋スパズム(spasm、攣縮)とは?

上述したような筋の過緊張により「圧痛」が生じた場合、筋スパズムという表現を使います。

このスパズムでは骨格筋の単収縮が不随意に起こって細かな痙攣性の収縮が絶えず起こり、筋肉を緩めても(起始と停止を近づけても)筋緊張が高いままの状態といわれています。

 

これに対して、リラクゼーションは有効とされています。

では硬くなった筋は全部リラクゼーションすればいいのでしょうか?

 

「筋スパズム」と「筋短縮」を区別する

筋スパズムは防御収縮などで過緊張が起こって圧痛が生じている状態です。特徴は自動運動で筋収縮を起こすと痛みが生じることです。

これは一つの運動単位で動く筋肉群を制御できないために起こる、神経学的な変化と言われています。

 

これに対して他動運動で伸張を加えて痛みが生じる場合は、筋短縮といいます。

筋短縮は、筋肉そのものの組織的変化と言われていて筋スパズムとは原因が異なります。

 

この短縮の場合、アクチンやミオシンといった筋節内の滑走性がコラーゲンの網掛けなどにより阻害されているため、持続的な伸張刺激が有効です。そこでストレッチが有効になります。

 

ストレッチの主な目的は関節可動域の改善です。

筋出力の発揮を改善するかどうかについては一致した見解を得られていないのが現状です。

 

短縮は「拘縮」や「筋萎縮」と何が違うの?

短縮と似た言葉として、拘縮や筋萎縮があります。

これらはどれも、筋肉が硬くて伸びにくい状態をイメージさせますが、状況は全く違います。

「拘縮」では、短縮が長期に渡り固定されてしまった状態で短縮のように可動域が容易に戻りません。また、これがさらに進行し全く可動性が無くなり不可逆性となった場合、「強直」と表現されます。

 

また、筋萎縮とは短縮が筋節の滑走性低下なのに対して、筋萎縮とはその筋節の集合である筋線維(筋細胞)自体が縮小したり、数が減ったりする状態です。

つまり筋線維(筋細胞)が痩せて、数が減った状態です。

 

短縮のように動きにくくなっただけの状態とは異なります。

 

この萎縮に対しては栄養の摂取と運動が必要になります。損傷しやすいためストレッチやリラクゼーションは慎重に実施する必要があります。

 

まとめ

今回は例えば、筋スパズムに対してはリラクゼーション、筋短縮に対してはストレッチと原因ごとに対処して、結果的に機能面を改善させることが重要だということを簡単にですがまとめてみました。

無目的に慰安で行うのでなければ、どちらも有効な手段ではないかと思います。