ハリトヒト他職種連携の記事を読んで
https://twitter.com/haritohito/status/1240416503142297601?s=21
先日、上記話題で穴田 夏希先生、建部 陽嗣先生のインタビューがハリトヒト内で公開されました。
今回は元々とても興味がある話題で、また穴田先生の資格が僕と全く一緒なため、どのような視点でお話されるかなど、わくわくしながら読ませて頂きました。
対談では様々な視点で議論され、他職種連携や鍼灸師の立場、病院でのポジション開拓の難しさなど、沢山の貴重なお話に触れることができました。
また、このお二人にインタビューしているさまんささんが鍼灸師としての視点で質問されているのも興味深かったです。
今回は僭越ですが、読ませて頂いた上で自分なりに感じたり、考えたことを簡単にメモとして残します。
Twitter上では、文字数が多過ぎたためブログでのアップにしました。
【読んでみて感じたこと】
対談を読ませて頂いて、様々な提案がありましたが、個人的にはカンファレンスに参加して他職種に認知してもらうというのが、病院内でポジションを開拓するより、鍼灸師にマッチしているように感じました。
【鍼灸が病院とマッチしにくい理由】
それはなぜかというと、鍼灸師は開業を目指される方が多く、家庭医的な相談役の視点の方が多いように思っています。
また慢性疾患に特化している背景もあり、ポジションとして急性期〜回復期ではなく、維持期(生活期)になってくるのかなと考えています。
なぜなら医療が発展した今、維持期以外の分野は他職種におまかせした方がいいのかなと考えています。
維持期以外では、相談役としての鍼灸師の役割を発揮するのは難しいですし、急性期〜回復期では鍼灸はどうしても第一選択にはなりません。
生命を確実に維持して、安全範囲で管理するのは、どうしても医師・看護師中心となります。
ただしそれでも鍼灸師が病院に勤めることで、様々な疾患に触れられますし、難病や癌の末期など特殊な分野を目指したい方は、病院(入院機能がある規模の)に入り込むことは、経験になりそうです。
そこを否定するわけではないことは、ご理解頂ければと思います。
【維持期とは何?維持期でどう活躍の?】
では話を戻して、維持期の分野(訪問や開業など在宅復帰してる患者さん対象の分野)で、鍼灸師がどう医療や福祉に関わっていけばいいかというと、医師よりもまずケアマネージャー(以下CM)に認知してもらうことが重要かもしれません。
CMはそれぞれクライアントを何十名か抱えていて、それぞれに合ったサービスをマッチングする役割を持っています。
クライアントにとって、何が自分に合うのか分からない中での、相談役、窓口になるような職種です。
概ねクライアントさんは、各種サービスを知らないのでCMさんの提案がかなり重要になってきます。
その選択肢の中には、訪問リハビリや訪問看護、訪問介護も含まれるのですが、ここに鍼灸という選択肢を入れてもらえることがまず最初の糸口になるのではないかと考えています。
【CMを窓口に他職種に知ってもらうには】
CMに知ってもらい、仕事をふってもらう。それが地域医療の一端を担うきっかけになり、他職種との連携の糸口になる。
これを実現するには、他職種がそれぞれクライアントの何をサポートしているのか知る必要があり、それを話し合うのが対談でもでてきたカンファレンスかと思います。
そこで、他の職種が何をしているのか知った上で鍼灸師は何ができるのか範囲を提示できれば役割が生まれると思います。
役割が生まれれば、次は病院など医療機関でも受け入れられる糸口がみつかるかもしれません。
【鍼灸師がもてる役割とは】
ここを具体的にするのが、非常に難しいのが現状ではないでしょうか。
個人ではなく、鍼灸全体で何に特化しているのか明確にできればいいのですが、ここで鍼灸師同士の連携も弱いことに気付かされます。
どうしても個人の技術の世界になりがちです。
しかし、そんな中でも痛みの緩和や不定愁訴の緩和など、他職種が何をしていいか分からない、困るようなケースに糸口があるような気がします。
ここは僕ももっと突き詰めて考えて、いつか提案できたらと思います。
【医療全体が削減傾向】
鍼灸師が病院など医療に入り込む難しさとして、タイミングもあります。
時代は、医療費削減で例えば理学療法士でも何してるの?いるの?と他職種に思われてしまうことがあるのが現実です。
つまり必須の医療(医師・看護師)以外は過剰と思われがちです。
患者さんのためになることでも、すべてができる訳じゃないというのが現実で、保険の中で財源が限られた中でやってる上では仕方がないと思います。
現実は医療はサービスではない。
最低限以上はお金がある人は受けられるし、無い人は受けられない部分がどうしてもあります。
無い人に受けさせたけば、その分誰かが負担しないといけない。
このような背景の中で、鍼灸は最低限以上の部分に現状入ってしまうと思います。しかし、それをなるべく最低限の範囲に入れていく。そのためにはまず、介護保険分野という気がしています。
【介護保険分野に入り込むのは難しい?】
とはいえ介護保険分野に入り込むのはハードルが高く感じるのではないでしょうか?むしろ抵抗がある人もいるかもしれません。
それは、分からない世界なので不安だからだと思います。
概要だけでも知ればきっとマッチしていることに賛成して頂ける鍼灸師も多いと思います。
僕自身も理学療法士として関わるまでそんなこと考えもしませんでしたし、まず医療というイメージから脱却できませんでした。
鍼灸師にどうメリットを感じてもらうか、ここも大事ですし、入り込むには介護保険分野や他職種の基礎知識があったほうが安心です。
武器をもってから、戦略的に入り込むのと、何もわからないけど飛び込むのではハードルの高さが違いすぎます。
また、介護保険領域側からしても共通言語がわからなければ、話ができない、話にならないというシビアな面も現実にあります。
それを学ぶ場をつくれれば。
現状、他の資格、例えばCMやPTなどをとって経験したほうが早いかもしれないですが、鍼灸の業界で鍼灸師の視点を含めてそういうものが作れれば…と考えています。
【理学療法士として働いての経験】
理学療法士として、通所リハビリ(デイケア)や訪問リハをしていて、クライアントから鍼灸師のことを耳にすることがあります。
「痛いから、鍼灸院にも通っているのよ。」みたいな感じで、理学療法士がケアしきれない部分に対して、通われていたりします。
ただ、何をしているのか詳細がわからず、連絡もしにくい状況です。
理学療法士としては鍼灸師が現状何をしていて、何を目標としてやっているのか、同じ患者さんに関わる立場として共有したいなと思うことはじつは多々あります。
場合によっては、お互いの説明がバラバラで患者さんを混乱させたり、マイナスになることをやってしまったりするのではないかと不安になったりします。
こういったお互い顔を見ずに存在だけ知っている、マイナスになっていないか不安を感じるという現状を改善するにはカンファレンスでお互い自己紹介することです。
認知しあえば、協力できます。
これをCMにも常に報告していれば、きっとCMにも信頼され、鍼灸師としては仕事をふってもらう機会も増えるような気がします。