歩行観察のコツ 苦手な人 ポイントに絞って 学生向け
歩行観察は慣れないとなかなか仮説を挙げるのが難しいですよね。
そのような時は、とりあえず患側の立脚期から注目してみるのがお勧めです。
遊脚期の時って、反対側が立脚期なので結局は大体立脚期に問題がある場合が多いです。
なのでまずは立脚期に絞ってみてみましょう。
(IC〜Psw)
それでも何からみていいかわからない時は、
IC(初期接地)に注目してみるといいと思います。
歩行は接地時の衝撃をいかに緩衝するか、
重心の移動をスムーズに行えるかが課題です。
ICは最初に衝撃吸収を行う場面であり、この時ヒールロッカーによる重心の持ち上げが起こります。
ICは何かしらのイベントが起こりやすく、大体その後のMst〜Pswまではその影響を受けていることが多いです。
また、歩行を観察する前に関節可動域をしっかり見ておくのも大事だと思います。
股関節伸展可動域がなく立脚期後半で骨盤後方回旋で代償する、股関節内転可動域がなく体幹傾斜で代償するとか、足関節背屈がなくて体幹前傾で推進力を代償したり、遊脚期で躓きがでたりなどよくあります。
筋力も大事ですが、痛みや関節可動域はまずみておきたいです。
筋力というより筋出力がまく発揮できないことも多いので、そういう時は歩行のどの場面で発揮できないか観察し、歩行の部分練習を行い筋出力のタイミングを学習することで改善することが多く、即時効果で問題点かどうか判断する場合もあります。
話が逸れましたが、まずICからみて、それでも言語化できなければ、動画をとりましょう。
今は簡単に動画をとれる環境が多いと思います。
動画をとったら繰り返しICの瞬間を反復して、体幹・股関節・骨盤・膝関節・足関節がどのようなアライメントになっているか観察しましょう。
(できれば上司や先輩と一緒に)
一度でも異常パターンを観察できればその後、他のクライアントでも見えるようになってくると思います。
学生の傾向をみると、デュジャンヌ現象、トレンデレンブルグ徴候はみれる人が多いように思いますが、他の現象もそれらと同じように見えるようになってきます。
見れる異常パターンが増えてくると、疾患や術式、既往歴、背景などの情報からおおよそのパターンをあらかじめ予測してみるようになります。
ただここで躓くのが、正常パターンと比較してきたために、そのクライアントの問題点がみえなくなるということです。
そもそも皆が正常歩行を目指せる人ではないし、異常パターン自体もその人にとっては必要な代償かもしれません。
慣れてきたら、その人の歩行パターンがなぜ起きているのか考えて、改善すべきパターンとそうでないパターンを区別する必要があります。
そのためには、歩行を改善してどうなりたいのか?という目標を整理しないといけません。
関節へのメカニカルストレスを減らすためなのか、転倒リスクを下げるためなのか、歩行距離を伸ばすためなのか、いろいろあると思いますが、それを改善するための問題点をみつけないといけません。
正常歩行と比べてしまうと、問題点だらけになってしまいますが、上記のように目的をしっかり整理して問題点に優先順位づけすることが大事です。
長くなりましたが、整理すると
①まず歩行周期の一部分に着目してみる
②異常パターンがみれるまで動画で反復する
③異常パターンがわかるようになってきたらそれが改善すべきものか考える
④目標を設定し問題点を整理する
の流れで学習していくのがお勧めです。