柔道整復師、理学療法士を経験して思うこと
今回は柔道整復師と理学療法士の2つの資格で仕事をしてみて感じたことをもとに、両資格の特徴を書いてみます。
この2つの資格は一般的に似ていると言われていますが、全く専門が違います。
業務はたしかに一部重なりますが、目的が違うのです。
今回、簡単に両資格の違いを書いてみます。
柔道整復師、理学療法士とは
ざっくりまとめると、柔道整復師は主に整骨院で働き、理学療法士は主に病院で働く仕事です。
しかし、現在は職域が広がり両資格とも福祉の現場をはじめ様々な場所で活躍しています。
簡単に違いを書くと、柔道整復師は痛みや動きにくいなどの「症状に対する治療」をすることが多いのに対して、理学療法士は日常で困る動作についていわゆる「リハビリ」をします。
理学療法士も「症状」には介入しますが、それは手段であり目的ではありません。
これは医療の現場において、症状には医師が主として対応しているからという側面があります。というのも病院ではより重度の疾患が多く、手術や投薬などの治療と並行してリハビリを行うからです。
ただ、理学療法士も外来や訪問など場面が変われば柔道整復師に近い業務もこなします。
このような場面では、患者さんのリピートを意識する必要があり、満足度について考えなければいけません。つまり症状の緩和や場合によっては慰安の要素(会話も含めて)に向き合わなければいけません。
またお客様としてサービスの観点も必要になってきます。
なので柔道整復師と理学療法士は場面によって業務が重なるという事実があります。
しかし、お互いに専門が違うため関わる上で目的は全く違うものとなります。
柔道整復師の治療と理学療法士のリハビリとは似て非なるものなのですが、それはまた別の記事で紹介します。
今回は、それぞれの資格の強みについて書いていきます。
理学療法士の強み
理学療法士は福祉の現場でも活躍しますが、養成校では医療での関わりを主として勉強します。
これが柔道整復師との違いとしてまず第1に挙げられる点だと思います。
理学療法士は、医療現場で連携して仕事をするため、常に医療従事者間での共通言語を求められます。
柔道整復師では、そのような教育は少なく、また現場でもあまり意識されていないのが現実です。
共通言語を用いることで、様々な書類を作成することができ、他職種との連携においてとても強みになります。
また根拠に基づいて治療をすることが求められるため、ある程度の能力の平均化が図られていると言えます。
これは施術者全体の質の向上につながっており、安心して施術を受けやすいと言えるでしょう。
理学療法士は医療現場でのリハビリをルーツとした資格なので良くも悪くも安定しています。
柔道整復師の強み
柔道整復師では、開業を目指して入学する人が多く、個人の行動力の高さに強みがあります。
先程書いたように、他職種と連携することが苦手である反面、個人で自営することを目的とするためバランスよく治療以外のマネジメントの視点を持っています。
それ故に、道をそれてしまう施術者が増えてしまい、以前より施術者としては質が下がってしまったことが残念です。
しかし、医療ではなかなか介入しきれないところで活躍することができる点がこの資格の強みです。
しっかり勉強している施術者であれば患者さんが本当に求めている、丁寧な関わりができます。
ある意味、医療的介入のような目的にしばられない点が強みだと思います。
より身近な立場で細やかなサポートができる反面、医療のように安定した内容が担保されているとは言えず、施術者ごとのレベルがばらばらという点が特徴です。
安心して施術を受けられるのは?
どちらの資格も、個人差はどうしてもあり、質にばらつきがあるのは事実です。
レベルの高い施術者がいれば、残念ですが意識の低い施術者も存在します。
しかし、国家試験を通過しているという点で一定の関門を超えてきています。
この意味ではどちらも一定の質が保たれています。
この点を踏まえて、あえてどちらかというと理学療法士となるでしょう。
その理由として、理学療法士の方が医学的な知識のレベルは高い点が挙げられます。そもそも、学ぶ単位数が、理学療法と柔道整復師では違うのでこれは仕方がありません。
理学療法士は4年がベースのカリキュラムなのに対し、柔道整復師は3年ベースなのです。
また、理学療法士は実習という何ヶ月もの長期の実地研修がある点も大きいです。
また理学療法士はクラスの半分近くは落第することもザラで、国家試験にたどり着くまでにかなりふるいにかけられます。これは柔道整復師の養成校では考えられません。
以上の点で、理学療法士の方が質としては安定していると言えるでしょう。
しかし、両資格とも卒業してからが本当の勉強です。
そこから努力した人としない人では差が生まれるため、個人のレベルによって当たり外れがどうしてもあると思います。
まとめ
柔道整復師と理学療法士は患者さんとの関わりが深くなる職種です。
そのため、患者さんとしては信頼できる施術者に治療してもらいたいと思うものです。
しかし、両資格とも一定のレベルは担保されているものの個人の資質が大きいと言わざるを得ません。
今回はその上で、両資格の強みや背景をまとめてみました。
まだまだ認知度が高くない両資格を知るきっかけになれば幸いです。