【柔道整復師】勉強できないのに養成校に入学してしまった話
僕は18歳で柔道整復師の学校に入学しました。
情けないのですが、じつは高校生までほとんど勉強をしてこなかったためにノートの取り方もわからないような状態でした。
その状態で入学してみると、勉強には全くついていけません。
なにしろ勉強する癖がないので、危機感もなく理解できていないこともわかってないような状態でした。
その状態で受けた初めての前期試験。結果は散々なものでした。
自分の現状がわかり絶望しました。しかし、どうしていいかわかりません。
僕はこんな状態から柔道整復師養成校でなんとか勉強についていけるようになり、専門学校を3つを梯子して最終的には理学療法士養成校の卒業時に表彰される程度になり、やっと人並みになりました。
今回は自分がある程度、勉強方法を確立するまでの道のりを思い出して書いてみます。
教科書が読めない
勉強をしてこなかった僕は教科書を読むことすらできませんでした。
読んでも文章が理解できません。
この状態になったことない人が大半だと思うので、共感してもらいにくいと思うのですが、本当に教養が不足していると書いてあることが全く想像できないんです。
柔道整復師の学校ってひたすら暗記だけです。
しかし、あまりにも理解力がないとその暗記に入ることすらできません。
文章を読んでも要点がわからないのはもちろん、まとめる力もないので途方に暮れました。
教科書全部にマーカーを引いてしまうような状態です。
あるきっかけで火がついた
こんな状態にも関わらず、焦ることも無く日々通学していました。
思えば勉強ができないということより、自分の現状がわかっていないことや危機感がないことが一番問題でした。
現状を打破しようとすれば必ず苦痛が伴います。
それを乗り越えるには、危機感がないと困難です。
しかし、ある日自分を変えるきっかけに出会いました。
いつも通り、わからないのに焦らずマイペースにやっていた僕ですが、クラスメイトに勉強をできないことをバカにされたんです。
「お前みたいなやつと一緒にいたら落ちるわ」みたいなニュアンスだったと思います。
そりゃみんな頑張っている中で、何しにきてるんだと思う人もいるので、今考えればそういわれてもしかたありません。
当時の僕は18歳なのもあり、自分のことを下に見られたと思い非常に腹が立ちました。
何もできないのにプライドだけは高かったので、悔しかったんだと思います。
やったらできるんや、という根拠のない自信でやっと勉強に本腰を入れることになります。
思考錯誤の日々が始まる
根拠のない自信はどこからでてきたんだというほど、僕は勉強ができませんでした。
しかし、なんとかしなくてはいけない。
ない頭を使って必死に考えていると、あることに気づきます。クラスの人を観察してみたのです。
よく見たら、みんな見たことのない教科書を持っていたりします。
聞いてみると、より易しい説明のある教科書を使って理解してから、学校の教材を読んでいるとのこと。
まさに僕も学校の教科書が理解できなかったので、さっそくこの方法を取り入れました。
しかし、全部の科目に対して教材を揃えるわけにはいきません。
そこで僕は最も苦手で、クラスでも難しいと言われていた「生理学」に絞って教材を購入しました。
この難しい科目を何とかできた時、ほかの科目も何とかなるんじゃないかと思ったのです。この1教科に集中するということが、後に功を奏します。
そして、クラスメイトと話すうちに自分の現状がわかってきます。何とかしたいと思って真剣に聞くと、自分の現状に危機感を覚えることができました。
そこで、9時に学校が終わるのですが、完全閉館の10時まで一時間必ず復習をして帰ることにしました。また、それに加えて日曜は全日勉強することにしました。
それまで勉強は全くせず遊んでいたのですが、遊ぶのはやめました。
そこからは生理学の中で今まで理解できなかった単元を一つ一つ簡単な教材で理解してから、ノートにまとめて、学校の教科書で理解できるまで何度も繰り返しました。
そして授業でもわからなければ必死に質問しました。
気管支喘息を「きかんしたんそく」と読んでしまい、授業中に手を挙げて「気管支喘息と気管支たんそくは似てるんですが何が違うんですか?」などという頓珍漢な質問をして、笑われたこともあります。
でも、かっこつけても仕方ないので、必死に質問しました。
そしたら休日でも教えてくれるような人が出てきたり、学校の先生でもわかりやすいプリントをくれたり、まわりも応援してくれるようになりました。
そうして勉強を積み重ねていくと、どんどん効率がよくなり、要点を覚えるどころか教科書全体の構成が頭に入ってどこにどんなことが書いてあるか、どのページの内容がどのページとつながっているかなどページ数までだいたい覚えるまでになりました。
生理学だけはいつも持ち歩いていたので、自分が良く開くところだけ手垢で色が付き、ボロボロになってきていました。
勉強法がみつかる
必死に生理学だけをやった結果、自分の勉強法が見つかりました。
まず、教科書全体の構成を理解することの重要性に気づきました。
全体のうちどの部分を今やっていて、その内容はどこに繋がるのかわかると理解が飛躍的に伸びたし知識も定着しやすくなりました。
そして、先ほども書いたように理解できなかったら教材の難易度を落とすことが重要であることにも気づきました。同じ内容でも違う視点から勉強したら急に理解が進む時があります。
また、わからない部分がでてきたら、養成校の先生やクラスメイトに教えてもらうことも非常に有効でした。
ここで大事なのは自分のわかってない部分がどこなのか理解できていることです。
自分がわからないことすらわからない状態では、じつは相談しても助けてもらえません。
まずは自分がわかるところとわからないところを理解するために、自分で頑張らないといけないことにも気づきました。
最初はとにかく量が大事
何もかもわからない時は正直方法ではなく量が大事で、教科書の全文暗記でもいいからとにかく必死になって、時間をかけてやれば道は開けます。
何かをやって初めて、効率がいいのか悪いのかが自分の中で見つかります。
最初からいい方法を探しても、方法を探すのに時間をかけているだけで、勉強は1ミリも進みません。
まず思いついたことをすべてやって、トライ&エラーを繰り返して見つかる事ってたくさんあります。
とはいえ、だめだったら他の方法を考えるというのは、とてもエネルギーがいる作業です。なので、これをするには「危機感」を持っていることが重要になります。
必死じゃないとできません。
テスト対策も重要
ある程度教科書の内容を理解できてきて、要点がわかってきたら、テスト対策も重要になってきます。
テストで点数をとらないと進級できません。
このテスト対策とは要は問題慣れする必要があるということです。
例えば国家試験では、テストの傾向を知り、過去問をまわす必要があります。
理解して→過去問→さらに理解を深める
この流れでどんどん理解を深め、知識の定着を繰り返して、テストの日に向けて準備しなければいけません。
この問題を解く過程は、クラスメイトと一緒にやるのも有効でした。
知ってる人が解説していくことで、周りも理解が深まるし、解説者もより理解を確実な物にすることができます。
テスト前の日曜日はよくクラスメイトと過去問をといて知識を確認しあったりしていました。
そしていざ後期試験
そんなことを繰り返して試行錯誤しているうちに後期試験の時期になりました。
今まで、勉強したことをすべて出した結果、生理学だけは100点満点中の70点台をとることができました。
それでも別にすごくいい点ではないのですが、めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えています。
そしてそこからは一度努力して成功体験を積んだので、どんどん他の教科も点数が伸びていきました。
知らなかったことを理解できる楽しさを知り、貪欲に学んでいくことができました。
最終的には無事最終学年まで進学することができ、柔道整復師の国家試験にも合格することができました。
最終的には勉強するきっかけになった発言をしたクラスメイトも認めてくれて、よかったら一緒に働かないかと声をかけてくれるまでになりました。
自分が変われば、周りも変わっていきました。
その後
その後、勉強の楽しさに気づき、卒業後もどんどん自分で勉強を進めていきました。
その結果、こんな僕でも最終的には理学療法士の学校にいき、卒業時表彰されるまでには成長できました。大学を卒業した人や、熱心に勉強している人と並んで、人並みにやれたことは自身のコンプレックスを緩和させることができました。
そしてなによりやっと人並みに学習できるようになったんだという喜びがありました。
ここまでに10年以上かかってしまいましたが、僕の人生にとっては価値のある経験でした。