理学療法士、柔道整復師、鍼灸師などの養成校では解剖学を学びます。
そのため「筋肉の暗記」は必ずしなければいけません。国家試験でも問われます。
この筋肉の暗記とは、起始・停止・作用・支配神経のことです。
一つ一つの筋にこれらがあります。
最初はその膨大な量につまずく人も多いのではないでしょうか。覚える事がとにかく多いんです。
しかし、これにはコツがあって解剖学は他の知識と関連させたり、グループ分けをしていくうちに覚えることを少なくできます。じつは理解が重要です。
今回は筋肉を覚えるためのグループ分けや筋同士の関連についてまとめてみます。
最初に筋の名前と形、場所を覚える
まず筋の名前と絵を結びつけて、どの場所にどの筋があるのかをイメージできるようにします。
よくクラスでやっていたのは、カルタを作ってその絵が何筋か言い当てる練習です。
厚紙を用意して、表には筋肉の絵、裏には筋の名前を書いておきます。
また人と一緒にやることで、モチベーションも上がります。
今回の覚え方はこの筋の名前と形、場所をまずしっかり覚えることが一番のポイントになります。
神経を覚える
筋肉の名前とだいたいの場所が頭に入ってきたと思います。
それが覚えられたら、次に支配神経を覚えます。
神経は走行に沿って支配しているので、この走行を覚えることで筋肉をグループ分けできます。
【上肢】
上腕の前面=筋皮神経
前腕の前面=正中神経・尺骨神経
上腕・前腕の後面=橈骨神経
【下肢】
大腿の前面=大腿神経
大腿の内側=閉鎖神経
大腿の後面=坐骨神経
下腿の前面=深腓骨神経
下腿の外側=浅腓骨神経
下腿の後面=脛骨神経
最初に筋の名前を覚えるときに場所も覚えているので、神経の走行と合わせるとグループ分けできます。
例えば「上腕の前面グループ」は「上腕二頭筋・上腕筋・烏口腕筋」で、すべて筋皮神経支配というようにまとめます。
下肢でも例をあげると、「下腿の前面グループ」は、「前脛骨筋・長趾伸筋・長母趾伸筋」ですべて深腓骨神経とまとめます。
この覚え方の利点は、同じ神経支配の筋は概ね同じ作用をもっているので、神経と作用を同時にまとめて覚えられることです。
先ほどの「上腕の前面グループ」では筋皮神経支配で肘の屈曲が共通した作用です。「下腿の前面グループ」は深腓骨神経で足関節の背屈が共通した作用です。
また、グループごとに覚えたらその中に例外があることに気づきます。
例えば内転筋群は閉鎖神経支配ですが、恥骨筋だけ大腿神経支配を含んでいるなどがあります。
そして、そこが国家試験でよく問われていることにも気づくと思います。
筋の起始・停止を覚える
ここまできたら、筋の起始停止をいよいよ覚えだします。
最初にカルタでしっかり筋の形と場所を覚えていれば、スムーズに暗記できます。
覚え方は、まず教科書の骨のページに戻ります。
筋の起始停止とは、ほとんどは骨への付着部です。
骨の形状を覚えていないとイメージできません。
しっかり骨の形状を理解するために各骨にある突起や窩を暗記します。
その後、教科書の筋のページと骨のページを交互に見て、イメージしていきます。
筋の形をしっかり最初に覚えていれば、だいたいどこにつくか想像できるので覚えやすいとおもいます。
それでも一字一句覚えるのは難しいし、時間がかかります。
なので全体を覚えながらも、まとまって付着している突起に絞ってまず覚えます。
【上腕骨大結節】
①棘上筋
②棘下筋
③小円筋
④大胸筋(大結節稜)
【上腕骨小結節】
①肩甲下筋
②大円筋(小結節綾)
③広背筋(小結節稜)
【烏口突起】
①小胸筋
②上腕二頭筋短頭
③烏口腕筋
【上腕骨内側上顆】
①円回内筋
②撓側手根屈筋
③長掌筋
④尺側手根屈筋
⑤浅指屈筋
【上腕骨外側上顆】
①回外筋
②肘筋
③長・短撓側手根伸筋
④尺側手根伸筋
⑤総指伸筋
【腸骨外側面】
①大殿筋(後殿筋線の後ろ)
②中殿筋(前殿筋の上)
③小殿筋(前殿筋線と下殿筋線の間)
【坐骨結節】
①半腱様筋
②半膜様筋
④大腿方形筋
⑤下双子筋
特に上肢では付着が重なっているところは国家試験によく出題されます。
ここまで覚えてくれば、最後は筋の起始停止を一覧表にしたものを作ったり、単語帳を作ったりして暗記にはいります。
何もせずにただ暗記にはいるより、理解してから暗記に入るのでスムーズに覚えれると思います。
個人的には筋の全体像を見渡せるので一覧表にすることをおすすめします。
まとめ
この覚え方のポイントは最初に筋の名前と場所をしっかり覚えることです。
これができれば後はかなり覚えやすくなります。
カルタは市販のものもありますが、自分で作るのが覚える近道です。
学校では人とクイズを出し合って、家では暗記して、また学校で言い合ってを繰り返してゲーム感覚で競うと割と覚えやすいと思います。
よかったらこの流れを参考にして下さい。