国家試験に頻出!手の変形まとめ
手部の変形については柔道整復師、理学療法士では国家試験でよく出題されています。
基本的に知っておかないといけない内容を備忘録としてまとめておきます。
指の伸展機構の機能障害による変形
以下総指伸筋、示指伸筋、小指伸筋を「指伸筋」、掌側骨間筋、背側骨間筋を「骨間筋」と省略しています。
①手内在筋優位の手(内在筋プラス)
指伸筋より骨間筋、虫様筋の緊張が高いときに起こる。
MP関節屈曲、PIP・DIP関節伸展
※関節リウマチ、パーキンソン症候群、視床手(錐体外路疾患)でみられる。
②手内在筋劣位の手(外在筋プラス)
骨間筋、虫様筋よりも指伸筋の緊張が高いときに起こる。
MP関節伸展、PIP・DIP関節屈曲
※鷲手でみられる
③白鳥の首変形(swan neck deformity)
手内在筋の拘縮や過緊張、MP関節の屈曲拘縮やPIP関節の不安定性で起こる。
MP関節屈曲、PIP過伸展、DIP関節屈曲
※関節リウマチでみられる。
④ボタン穴変形
中央索の伸張や断裂
MP関節過伸展、PIP関節屈曲、DIP関節過伸展
※関節リウマチでみられる。
⑤槌指(mallet finger)
突き指などで終伸筋腱が断裂した時に起こる。
PIP関節伸展、DIP関節屈曲
※外傷でみられる。
上肢の末梢神経麻痺による変形
①鷲手
尺骨神経麻痺で起こる。主内在筋劣位の手となる。MP関節伸展、PIP・DIP関節屈曲。
母指内転筋が不能になった時、代償的に長母指屈筋が働いて母指IP関節が屈曲してしまうことをフローマン徴候という。
肘関節より近位の障害では前腕筋の麻痺を起こすが、手関節より遠位の障害では手内在筋だけの麻痺が起こる。
②下垂手
橈骨神経麻痺で起こる。手関節の背屈、MP関節の伸展が不能になる。
高位麻痺は典型的な下垂手となるが、低位麻痺(前腕遠位1/3)では運動麻痺は起こらない。
また橈骨神経麻痺の枝である後骨間神経が障害された場合は、下垂指となり、手関節は障害されない。
③猿手
正中神経麻痺で起こる。円回内筋以下が麻痺した時に起こり、母指球筋の萎縮が著明。手根管の障害では母指球筋の麻痺や萎縮はあるが、猿手は出現しないこともある。
また正中神経の枝である前骨間神経が障害されたときは、長母指屈筋、示指の深指屈筋が障害されParfect O signの肢位がとれず、tear drop signがみられる。