リハログ

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はじめまして。yusukeです。柔道整復師/鍼灸師/理学療法士 3つの資格を取得。各種養成校の学生向けに「リハログ」を運営しています。30代一児の父として頑張っています。

【柔道整復師】辛くてやめたい時、自分が何をしたかったのか思い出してください。

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柔道整復師の業界は先が見えないので不安という声をよく聞きます。

しかも雇われていれば労働環境は過酷です。

柔道整復師にやっとなったのに、自分が思い描いていた業務ができない。日々流されていくうちに漠然とした不安は大きくなり、辛くなり次第にやめたくなる。

 

多かれ少なかれこのような時期があるのではないでしょうか。

 

でも、仮に上記の内容が問題であるならば、受け身すぎるのかもしれません。能動的に自分から動かないと不安は募る一方です。

 

自分が何がしたくて柔道整復師を目指したのかもう一度振り返ってみてください。

 

 

 

柔道整復師だけが厳しいわけじゃない

じつは柔道整復師でなくとも、自分のやりたい仕事内容で、納得いく待遇で、将来性も抜群という仕事はほとんどないです。

漠然とした不安に襲われるのはなにも柔道整復師に限った事ではありません。

 

では活き活きと仕事をしている人たちは何が違うんでしょう。

おそらく自分で能動的に活動しているのではないでしょうか。

 

今自分がしている仕事も目的をもって、自分が納得して行えば、やらされている仕事ではなくなり、経験に変わります。

 

 

目標を持ってみる

能動的に動くといっても何をしたらいいのでしょうか。

 

自分の意志で日々を過ごすということは、「目標」を持つことから始まります。

そんな意識高いこといわれても・・・と思うかもしれません。

 

でも毎日不安でしんどいのは、人にやらされている仕事をやっているからです。

自分が今の環境を利用して、最終的に楽になるためには、その楽な状態を目標にして楽になるために努力しないといけません。

 

目標を立てれば、辛いことも楽になるための過程になり、経験に変わります。

 

ドラクエの経験値を貯めている時と一緒です。あんな先の予測できる単純作業を黙々とやれる理由は、目的が明確で、結果が伴うことを確信できているからです。

 

現実世界で難しいのは、結果が伴わないことも多いということです。

 

先が予測しきれないんです。でも自由度は無限大で、努力も果てしなく可能です。結果は分かりませんが、成長という意味では無駄にならないことは担保されているといってもいいのではないでしょうか。

 

実はゲームより現実のほうが遥かに面白いと思います。

しかし、失敗し挫折することや、傷つくこともたくさんあり、簡単ではありません。

 

でも、なんでも思い通りにいくというのは面白いのでしょうか。何もかも満たされたら飽きます。

ドラクエでいうと(やたらドラクエに例えますが)レベル最大でラスボスに余裕で勝てる状態です。

 

満たされない何かがあって、それを満たすために努力して、それを満たしたとき成長を実感するというのが人生楽しいものです。

 

目標は自分が納得いくものでいい

目標は他の柔道整復師から、すごいといわれるようなものでなくて大丈夫です。

柔道整復師と関係ないことでも全然大丈夫です。

でも、それなら今柔道整復師として働いている場合じゃありませんよね。その目標に繋がる行動を起こさなければ、自分の不安は消えないことになります。

 

しかし、そのような他のことを考える前に、柔道整復師になりたかった理由があるはずです。まずそれを掘り下げてみましょう。

 

入ってみたら思った業界と違った。

 

他の仕事でもよくあることです。働くということは、そもそも自分の思ったことばかりをできるわけではありません。

雇われているわけですから、経営者の方向性に沿って組織の一員となる義務があります。

なので、今の環境でしたいことができないのは当たり前かもしれません。

 

自分のしたいことは自分で起業してするべきです。それにお金がついてくれば理想の仕事を作りだせたことになります。

 

そのために、今の環境で学んでおくべきことがきっとあるはずです。

接客や雑務なんかも自分でやるときに、どうするのか細かく計画しておくだけでも勉強になります。

 

人間関係が最悪なら、人間関係のいい職場を作るために自分が何を勉強すればいいかなど、反面教師的にも学ぶことができます。

 

しかし、人間関係などでしんどい場合は自分が潰れてしまっては目標を達成するどころではありません。その辺のバランスを見て、今学べることがないか考えて過ごす必要があります。

 

また転職する場合でも、自分の目標とそのために学ぶべきことが明確であることが重要です。

これがあればどのような職場でも納得して働けますし、日々積み重なっていきます。

 

それがないので不安なのではないでしょうか。

 

最終的に目標を達成し、納得いく仕事でお金を稼げた時、自分が毎日楽しく仕事ができて結果的に楽になると思います。

 

まとめ

悩んだ時、環境のせいにしてしまうといつまでも自分の成長が得られません。

今の環境でベストを尽くして、頭打ちになるようなら思い切って転職して、目標に向かって行動することが不安を消してくれると思います。

 

不安に思いながら思考停止していると、本当に厳しい時代かもしれません。

それは柔道整復師だけではないはずです。

 

いろんな障害が日々あると思いますが、どんな環境でもその中でベストを出していけばきっと何かしら積みあがっていくと思います。

 

 

【柔道整復師】勉強できないのに養成校に入学してしまった話

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僕は18歳で柔道整復師の学校に入学しました。

情けないのですが、じつは高校生までほとんど勉強をしてこなかったためにノートの取り方もわからないような状態でした。

その状態で入学してみると、勉強には全くついていけません。

 

なにしろ勉強する癖がないので、危機感もなく理解できていないこともわかってないような状態でした。

その状態で受けた初めての前期試験。結果は散々なものでした。

 

自分の現状がわかり絶望しました。しかし、どうしていいかわかりません。

 

僕はこんな状態から柔道整復師養成校でなんとか勉強についていけるようになり、専門学校を3つを梯子して最終的には理学療法士養成校の卒業時に表彰される程度になり、やっと人並みになりました。

 

今回は自分がある程度、勉強方法を確立するまでの道のりを思い出して書いてみます。

 

教科書が読めない

勉強をしてこなかった僕は教科書を読むことすらできませんでした。

読んでも文章が理解できません。

この状態になったことない人が大半だと思うので、共感してもらいにくいと思うのですが、本当に教養が不足していると書いてあることが全く想像できないんです。

 

柔道整復師の学校ってひたすら暗記だけです。

しかし、あまりにも理解力がないとその暗記に入ることすらできません。

文章を読んでも要点がわからないのはもちろん、まとめる力もないので途方に暮れました。

教科書全部にマーカーを引いてしまうような状態です。

 

あるきっかけで火がついた

こんな状態にも関わらず、焦ることも無く日々通学していました。

思えば勉強ができないということより、自分の現状がわかっていないことや危機感がないことが一番問題でした。

 

現状を打破しようとすれば必ず苦痛が伴います。

それを乗り越えるには、危機感がないと困難です。

 

しかし、ある日自分を変えるきっかけに出会いました。

いつも通り、わからないのに焦らずマイペースにやっていた僕ですが、クラスメイトに勉強をできないことをバカにされたんです。

「お前みたいなやつと一緒にいたら落ちるわ」みたいなニュアンスだったと思います。

そりゃみんな頑張っている中で、何しにきてるんだと思う人もいるので、今考えればそういわれてもしかたありません。

 

当時の僕は18歳なのもあり、自分のことを下に見られたと思い非常に腹が立ちました。

何もできないのにプライドだけは高かったので、悔しかったんだと思います。

 

やったらできるんや、という根拠のない自信でやっと勉強に本腰を入れることになります。

 

思考錯誤の日々が始まる

根拠のない自信はどこからでてきたんだというほど、僕は勉強ができませんでした。

しかし、なんとかしなくてはいけない。

 

ない頭を使って必死に考えていると、あることに気づきます。クラスの人を観察してみたのです。

 

よく見たら、みんな見たことのない教科書を持っていたりします。

聞いてみると、より易しい説明のある教科書を使って理解してから、学校の教材を読んでいるとのこと。

 

まさに僕も学校の教科書が理解できなかったので、さっそくこの方法を取り入れました。

 

しかし、全部の科目に対して教材を揃えるわけにはいきません。

そこで僕は最も苦手で、クラスでも難しいと言われていた「生理学」に絞って教材を購入しました。

 

この難しい科目を何とかできた時、ほかの科目も何とかなるんじゃないかと思ったのです。この1教科に集中するということが、後に功を奏します。

 

そして、クラスメイトと話すうちに自分の現状がわかってきます。何とかしたいと思って真剣に聞くと、自分の現状に危機感を覚えることができました。

 

そこで、9時に学校が終わるのですが、完全閉館の10時まで一時間必ず復習をして帰ることにしました。また、それに加えて日曜は全日勉強することにしました。

 

それまで勉強は全くせず遊んでいたのですが、遊ぶのはやめました。

 

そこからは生理学の中で今まで理解できなかった単元を一つ一つ簡単な教材で理解してから、ノートにまとめて、学校の教科書で理解できるまで何度も繰り返しました。

 

そして授業でもわからなければ必死に質問しました。

気管支喘息を「きかんしたんそく」と読んでしまい、授業中に手を挙げて「気管支喘息と気管支たんそくは似てるんですが何が違うんですか?」などという頓珍漢な質問をして、笑われたこともあります。

でも、かっこつけても仕方ないので、必死に質問しました。

 

そしたら休日でも教えてくれるような人が出てきたり、学校の先生でもわかりやすいプリントをくれたり、まわりも応援してくれるようになりました。

 

そうして勉強を積み重ねていくと、どんどん効率がよくなり、要点を覚えるどころか教科書全体の構成が頭に入ってどこにどんなことが書いてあるか、どのページの内容がどのページとつながっているかなどページ数までだいたい覚えるまでになりました。

生理学だけはいつも持ち歩いていたので、自分が良く開くところだけ手垢で色が付き、ボロボロになってきていました。

 

勉強法がみつかる

必死に生理学だけをやった結果、自分の勉強法が見つかりました。

 

まず、教科書全体の構成を理解することの重要性に気づきました。

 

全体のうちどの部分を今やっていて、その内容はどこに繋がるのかわかると理解が飛躍的に伸びたし知識も定着しやすくなりました。

 

そして、先ほども書いたように理解できなかったら教材の難易度を落とすことが重要であることにも気づきました。同じ内容でも違う視点から勉強したら急に理解が進む時があります。

 

また、わからない部分がでてきたら、養成校の先生やクラスメイトに教えてもらうことも非常に有効でした。

ここで大事なのは自分のわかってない部分がどこなのか理解できていることです。

自分がわからないことすらわからない状態では、じつは相談しても助けてもらえません。

まずは自分がわかるところとわからないところを理解するために、自分で頑張らないといけないことにも気づきました。

 

最初はとにかく量が大事 

何もかもわからない時は正直方法ではなく量が大事で、教科書の全文暗記でもいいからとにかく必死になって、時間をかけてやれば道は開けます。

 

何かをやって初めて、効率がいいのか悪いのかが自分の中で見つかります。

最初からいい方法を探しても、方法を探すのに時間をかけているだけで、勉強は1ミリも進みません。

 

まず思いついたことをすべてやって、トライ&エラーを繰り返して見つかる事ってたくさんあります。

とはいえ、だめだったら他の方法を考えるというのは、とてもエネルギーがいる作業です。なので、これをするには「危機感」を持っていることが重要になります。

必死じゃないとできません。 

 

テスト対策も重要

ある程度教科書の内容を理解できてきて、要点がわかってきたら、テスト対策も重要になってきます。

テストで点数をとらないと進級できません。

 

このテスト対策とは要は問題慣れする必要があるということです。

例えば国家試験では、テストの傾向を知り、過去問をまわす必要があります。

 

理解して→過去問→さらに理解を深める

 

この流れでどんどん理解を深め、知識の定着を繰り返して、テストの日に向けて準備しなければいけません。

 

この問題を解く過程は、クラスメイトと一緒にやるのも有効でした。

知ってる人が解説していくことで、周りも理解が深まるし、解説者もより理解を確実な物にすることができます。

 

テスト前の日曜日はよくクラスメイトと過去問をといて知識を確認しあったりしていました。

 

そしていざ後期試験

そんなことを繰り返して試行錯誤しているうちに後期試験の時期になりました。

今まで、勉強したことをすべて出した結果、生理学だけは100点満点中の70点台をとることができました。

 

それでも別にすごくいい点ではないのですが、めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えています。

 

そしてそこからは一度努力して成功体験を積んだので、どんどん他の教科も点数が伸びていきました。

知らなかったことを理解できる楽しさを知り、貪欲に学んでいくことができました。

最終的には無事最終学年まで進学することができ、柔道整復師の国家試験にも合格することができました。

 

最終的には勉強するきっかけになった発言をしたクラスメイトも認めてくれて、よかったら一緒に働かないかと声をかけてくれるまでになりました。

自分が変われば、周りも変わっていきました。

 

その後 

その後、勉強の楽しさに気づき、卒業後もどんどん自分で勉強を進めていきました。

 

その結果、こんな僕でも最終的には理学療法士の学校にいき、卒業時表彰されるまでには成長できました。大学を卒業した人や、熱心に勉強している人と並んで、人並みにやれたことは自身のコンプレックスを緩和させることができました。

 

そしてなによりやっと人並みに学習できるようになったんだという喜びがありました。

ここまでに10年以上かかってしまいましたが、僕の人生にとっては価値のある経験でした。

 

【まとめ】筋収縮について。筋肉の勉強を楽にするためのまとめ。

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筋の知識は運動器の障害を考えるときに必ず必要になります。

 

理学療法士柔道整復師鍼灸師ともに養成校ではかなりの時間をかけて学習します。

臨床ではその基礎知識をもとにさらに掘り下げていかなければいけません。

 

今回は復習を兼ねて、筋の基礎知識についてまとめます。

 

筋(筋肉)とは

「筋」は何でできているんでしょうか。

筋自体は主に筋細胞(筋線維)でできています。そこに血管や神経が入り筋収縮を可能にしています。

 

筋には骨格筋、平滑筋、心筋の三種類があります。

筋といわれると骨格筋が一番イメージしやすいのではないでしょうか。力こぶを作る上腕二頭筋や一般に腹筋といわれる腹直筋など、身体の外側から確認できる筋はほぼすべて骨格筋です。

骨格が作るフレームにこの骨格筋や脂肪のボリュームが加わって、人間の体格を形成しています。

 

では平滑筋とはなんでしょうか。これは主に内蔵や血管の筋肉をいいます。

内臓も収縮して機能を果たしており、この収縮は内臓の中に筋で構成される部分があるため可能となっています。

見た目には見えませんが、内臓も筋肉で動いています。

ただし骨格筋と違い、不随意といって自分の意志で動かすことはできません。

 

心筋は心臓固有の筋肉です。心臓は一定のリズムで収縮する必要があり、特殊な構造をしています。そのため心筋といわれる専用の筋肉があります。

これも不随意の筋であり、自分の意志で動かすことはできません。

 

骨格筋はいわゆる運動神経が繋がり、大脳皮質からの指令で自分の思うように収縮可能です。脳から脊髄を錐体路錐体外路とわれる伝導路が通り、そこから末梢神経である運動神経にバトンタッチして筋肉まで配線がつながっています。

この流れのいずれかがやられると麻痺という現象がおこり、筋肉が動かせなくなったり過剰に緊張してしまったりしてコントロールできなくなってしまいます。

 

では平滑筋や心筋はというと、これをコントロールする神経というのが自律神経です。

自律神経は興奮時の交感神経、安静時の副交感神経として一般にも知られていますが、このような作用だけではなく、重要な臓器のコントロールを担っています。

 

骨格筋、平滑筋、心筋はそれぞれ役割の違いはありますが、いずれも筋細胞により形成される「筋」の仲間です。

 

今回は主に運動に関わる骨格筋についてまとめていきます。

 

骨格筋

骨格筋は筋細胞の集合により構成されています。細胞がたくさんあるということは、核もたくさんあるので多核の組織となります。

 

また、骨格筋は細分化していくごとに名称が変わっていきます。

 

骨格筋は筋束といわれる筋線維の束が集合して出来ています。この筋線維ひとつひとつが筋細胞であり、その中に筋原線維といわれるより小さいものがはいっています。

 

一般的に細胞の中には細胞内小器官(ミトコンドリア、核、粗面・滑面小胞体、リソソームなど)がありますが、筋細胞ではやや構造が異なります。

 

まず細胞内で細胞内小器官以外の部分を細胞質といいますが、筋では筋形質といいます。その中に同様に細胞内小器官があるのですが、筋の場合はそのほとんどを筋原線維が埋めています。

また滑面小胞体は筋小胞体という名称に変わり、筋原線維の周辺を取り囲んでいます。

そこに横行小管という管がつながり細胞の表面までつながっています。

この管を伝って活動電位が伝わり、筋の動きを可能としますが、それは後ほどまとめます。

 

通常細胞の表面は細胞膜が覆っていますが、筋では筋鞘という名称に変わります。

 

まとめると、大まかな流れとしては、骨格筋→筋束→筋線維(筋細胞)です。

 

その筋線維(筋細胞)の構成要素として、筋鞘・筋形質・筋原線維・筋小胞体・横行小管・核・ミトコンドリアなどがあります。

 

 そして、筋の理解で重要になってくるのはこの中の「筋原線維」です。

 

ここに筋節(サルコメア)というミクロのメカニズムがあり、そこにアクチン・ミオシンという部分があります。これらによって、ミクロのレベルで収縮が起こります。

(※正式にはアクチンフィラメント、ミオシンフィラメント)

この最小の収縮が積み重なり、目に見える程の筋収縮になります。

 

なのでこの筋原線維の理解が、筋収縮の理解となるため、学習の要点となります。

 

 

筋の収縮を理解するために筋原線維を理解する

先ほど書いたように、筋収縮がどうやって起こるのか知るためには、筋原線維を理解する必要があります。

 

筋は縮んで短くなり、関節を動かすということは体感でみんな知っています。

しかし、医療職としては、この縮むという筋の変形がどのようにして起こるのか、そのメカニズムも知っておかないといけません。

 

筋収縮は筋線維(筋細胞)の内部に存在する、「筋原線維」のレベルで起こります。

 

この筋原線維の中に「アクチン」フィラメント、「ミオシン」フィラメントというものがあって、この2つを主な登場人物として理解していく必要があります。

 

アクチンは細胞内小器官の一つである細胞骨格というものに相当し、細胞や核の形を維持するフレームのようなものです。これがミオシンの上を滑って筋収縮が起きます。

 

アクチンがミオシンの上を滑るのは、ミオシンの頭部といわれる部分が、アクチンをたぐり寄せるようにしておきます。

 

しかし、この動きは通常ロックされていて、神経による電気刺激がないと解除されません。なので運動神経のコントロールがあって初めて筋収縮が起こせることになります。

 

筋収縮はどうやって起きるの?

筋肉の収縮は、「電気刺激」によって起こります。

この電気刺激とは、神経を伝達する「活動電位」です。

 

それが「神経筋接合部」といわれる神経が筋肉に連結している部分に伝わり、先ほどの筋原線維の構造を動かします。

 

神経筋接合部とは神経の末端の「神経終末」と筋肉の「運動終板」のことで、ここで神経と筋肉が結合します。

神経と神経の接合はシナプスといいますが、神経と筋の接合を神経筋接合部と表現します。

 

ここではアセチルコリンが伝達物質となります。このアセチルコリンの作用で、活動電位が発生します。

 

その活動電位が最初に発生する場所は、「筋鞘」という筋線維を包む膜(細胞膜に相当する)です。ここから「横行小管(T菅)」を通って筋内部に活動電位が流れていきます。

そして「筋小胞体」という袋に伝わります。ここにはCa²⁺が蓄えられていて、筋小胞体に活動電位が伝わるとCa²⁺を放出します。

 

このCa²⁺がトロポニンというアクチンを束縛しているものに結合します。

このトロポニンによる束縛を解除して初めてアクチンがミオシン上を滑走することができます。

これにより筋収縮を起こすことができることになります。

 

この筋鞘での活動電位発生(興奮)から筋の収縮までの流れを「興奮収縮連関」といい、非常に重要です。

 

筋収縮はどうやって調整してるの?

筋収縮は電気刺激が引き金となって起こることがわかりました。

しかし、電気刺激が一瞬伝わっただけではピクッと筋が動くだけです。

 

先ほどの内容でピクッと動くメカニズムは分かりました。しかし、実際は関節をグーっとゆっくり曲げたり、瞬間的に曲げたり止めたりといろいろ調節して動きって成り立ちますよね。

ピクッじゃ、日常の動きができません。

 

このピクッは実は「単収縮」という名前がついています。

これがピクピクピク!!!とピクッ1回が終わりきるまでに重なると、筋肉のグーっと持続した収縮になります。(擬音語ばっかりですが笑)

この重なった収縮を「強縮」といいます。

 

我々が日常でする動きに必要な、グーっという筋の持続的な収縮はこの強縮になります。

またこの一回のピクッが終わる前にもう一回ピクッと重なることを「加重」といいます。

 

単収縮が加重により積み重なって持続的な収縮や瞬間的な収縮を可能にしているんですね。

そしてその引き金になる電気刺激の量を調節しているのが、運動神経です。

 

筋収縮から生まれる「筋張力」

筋肉が縮もうとする力を「筋張力」といいます。

先ほどの強縮のイメージが強くなりやすいですが、じつはこの筋張力にはもう一つあります。

 

じつは筋は何もしてなくても、ある程度の張りが常にあります。正常な筋は弛緩性麻痺のようなダラーンとした状態ではなく、常にある程度の筋緊張があります。

 

この何もしていない状態の筋の長さを「静止長」といます。

この静止長から筋を伸張すると(ストレッチした状態)、何もしていなくても元々筋に緊張があるのでゴムみたいに戻ろうとする力が生まれます。

この力を「静止張力」と言います。

 

それに対して強縮で生まれる力を「活動張力」といいます。

 

筋張力にはこの2つがあり、この2つを足した物を「全張力」といいます。

 

まとめると筋の収縮から生まれる力には、強縮による活動張力と伸ばされたら元に戻ろうとする静止張力があります。

 

筋膜とは

筋膜とは骨格筋を包んでいる膜です。

筋膜といえば単純に筋肉を外側から包んでいるイメージをすると思います。

 

しかし、じつは筋だけでなく、筋束や筋線維のレベルでそれぞれパックされています。

なので筋膜ってじつは筋の内部にもある構造なんです。

 

筋線維を覆うのは、「筋内膜」

筋束を覆うのは、「筋周膜」

骨格筋そのものを覆うのは、「筋外膜(筋上膜)」

 

筋線維は筋細胞のことです。筋細胞は外側を筋鞘が覆っています。

そのため筋鞘のすぐ外側を覆うのが筋内膜ということになります。

 

神経膜も似た構造をしている

神経線維とは神経細胞を指す言葉です。神経線維とはニューロンのことですが、神経細胞体と樹状突起、軸索、神経終末を含みます。

これも神経膜で同じように覆われているのですが、じつは筋膜と似た名称がついています。

 

神経線維を覆う「神経内膜」

神経束を覆う「神経周膜」

末梢神経そのものを覆う「神経外膜(神経上膜)」

 

筋膜と一緒に名称を覚えてしまうと覚えやすいかもしれません。

 

まとめ

今回は筋や筋収縮についてまとめてみました。

わかりやすくするためにやや乱暴にまとめてしまいましたので、詳細は成書で調べて頂ければ幸いです。

 

筋の基礎知識は、臨床の様々な疑問を理解する上でとても役に立ちます。

 

【理学療法士】頭部外傷ってどんなリスクがあるの?

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頭部外傷は、交通事故や転倒などで、頭を打った時に起こります。

頭部外傷といっても重症度は様々で、頭蓋骨が骨折する場合もあれば、脳から出血するものまであります。

 

また、骨折や出血などの重度なものだけではなく、話題になった「脳震盪」も頭部外傷のひとつです。脳の損傷は場所や重症度によって病態が様々です。

 

今回は頭部外傷についてまとめてみます。

 

 

 

頭蓋骨骨折と脳損傷

頭部外傷で起こる重度なものとして、頭蓋骨骨折と脳損傷があります。

頭蓋骨骨折はその名前通り頭蓋骨の骨折です。それに対して脳損傷とは、脳を包む髄膜(硬膜、クモ膜、軟膜)や脳実質(脳そのもの)の損傷です。

 

頭蓋骨骨折も部位によって名前が変わり、頭の部分である「円蓋部」の骨折と内部にある「頭蓋底」の骨折などがあります。

このうち円蓋部の骨折では、急性硬膜外血腫などの髄膜レベルの損傷を伴う場合があります。

 

そのため頭蓋骨骨折と脳損傷の関係は深いと言えます。

 

頭蓋底の骨折では、パンダの目といわれる目の周りの皮下出血(racoon eye)や耳介後部の皮下出血(Battle徴候)が有名で、それぞれ前頭蓋底骨折、中頭蓋底骨折でみられます。

頭部打撲後にこれらがみられた場合は頭蓋底骨折を疑います。

 

急性硬膜外血腫

頭蓋骨と硬膜の間に出血が起こる場合を言います。

その出血部位から、硬膜外血腫は頭蓋骨骨折に合併する場合もあります。

 

画像所見の特徴として「凸レンズ型」に血腫が映ります。

また血腫が大きい場合、正中偏位(midline shift)がみられる場合があります。

 

この急性硬膜下血腫の症状で特徴的なのは、受傷後に一時的な意識清明期(lucid interval)があることです。

この意識清明期の後は、意識混濁となり昏睡となっていき生命の危機に関わります。

そのため緊急に開頭して血腫を除去して止血しなければいけません。

 

急性硬膜下血腫

硬膜とクモ膜の間の、硬膜下腔に出血がある場合を言います。

脳挫傷を伴うことが多いと言われています。

 

硬膜外血腫との違いは、意識清明期が無いことです。そのため受傷直後に意識障害がみられます。

 

画像所見の特徴として「三日月型」に血腫が映ります。

硬膜下血腫でも血腫が大きい場合、正中偏位(midline shift)がみられる場合があります。

 

硬膜外血腫と同様に、意識混濁となり昏睡となっていき生命の危機に関わります。

そのため緊急に開頭して血腫を除去して止血しなければいけません。

 

慢性硬膜下血腫

アルコール多飲者や高齢者で起きやすく、軽微な外傷で生じます。

「何ヵ月か前に頭を軽く打った」というような高齢者で起きる場合が多く、時間がたっているため原因がはっきりしない場合もあります。

 

画像の特徴は急性硬膜下血腫と同じように「三日月型」の血腫像を呈します。

しかし、慢性とあるように徐々に血腫が広がり、多くは2~3ヵ月後に症状が現れます。

急性硬膜下血腫と同じ硬膜下腔に出血が起きます。

 

慢性硬膜下血腫が見つかれば、穿頭ドレナージ術で血腫の除去を行います。

 

脳挫傷

先ほどまでのものは、髄膜という脳表面を覆う膜のところで出血したものです。

それに対して、脳実質(脳そのもの)で出血した場合は脳挫傷といいます。

 

画像所見の特徴は、点状出血と呼ばれる小出血の散在です。時間と共に出血が広がって小出血が集まり、血腫となります。

 

いずれもなぜ危険かというと、出血が血腫という塊となり脳を圧迫してしまうためです。また同時に出血の周りに脳浮腫も生じるのでより圧迫は強くなります。

 

頭蓋骨の内部の空間は割と少なくて、脳の内部や外側の髄膜から出血すると、たちまち脳を変形させるほどの圧迫が起きてしまいます。

 

それが重度になると、脳ヘルニア呼ばれる脳幹を圧迫するような事態となり、生命の危機になります。

脳幹には呼吸や循環などをコントロールする中枢があり、生命活動が停止してしまうためです。

 

また脳幹・視床・大脳皮質のいずれかが障害された場合、意識をコントロールする部分がやられて、多くの場合意識も障害されてしまいます。

意識障害とは、要は目が覚めなくなってしまいます。

 

重度になると昏睡と呼ばれます。

 

クモ膜下出血もまれに外傷で起きる

急性硬膜下血腫と同様に「脳表面の動脈」からの出血で起きます。

硬膜下腔ではなくクモ膜下腔に出血した場合、外傷性のクモ膜下出血となります。

 

脳表面にある動脈はクモ膜下腔を走行していて、それが破綻した場合、くも膜下腔に出血が広がる場合と、クモ膜を破って硬膜下腔に出血する場合があります。

 

また「架橋静脈」というクモ膜下腔から硬膜下腔を縦に貫通して上矢状静脈洞につながる静脈があり、これが破綻した場合も硬膜下血腫やクモ膜下血腫となる可能性があります。

 

びまん性脳損傷

【脳震盪】

これが 最も多い頭部外傷です。

頭部に衝撃を受けた直後に起こる一時的な意識や記憶の喪失とされています。またすぐに回復するものを言います。

 

軽症の場合意識の喪失は伴わない場合があり、何事もなかったかのように動けてしまうため危険があります。

なぜ危険かというと、何事もないと思っていてもじつは注意力や集中力などの低下や記憶障害などの症状が現れている場合もあり、これが正常に戻るには数週間かかると言われています。

 

そしてもう一つ危険な理由はセカンドインパクト症候群の存在です。

脳震盪を起こした状態でもう一度脳震盪を起こすリスクは数倍になってしまい、繰り返すと重症度が増していきます。

この脳震盪を起こした状態で再度脳震盪を起こすことをセカンドインパクト症候群といい、生命の危険や重度の後遺症のリスクがあります。

 

そのため脳震盪は軽症だからといって軽くみてはいけません。

 

また脳震盪後に脳画像で特に問題がないにも関わらず、意識障害が長く続く場合はびまん性軸索損傷として判断されます。

 

【びまん性軸索損傷】

これも軽微な頭部外傷で起こることがあるものです。

 

遷延性の意識障害が特徴で、脳の回転加速度により軸索が切れてしまって起こります。

軸索の束である脳梁が好発部位です。

 

頭部外傷自体は軽微なのに、意識障害が長く続く場合にびまん性軸索損傷が疑われます。

 

高次脳障害(記憶・認知・人格の障害)を伴う場合も多く認知機能の回復は不良と言われています。また、意識障害が長ければ長いほど、予後は悪いとされています。

 

まとめ

今回は頭部外傷についてまとめてみました。

 

軽症のものから重症のものまで様々ですが、転倒により頭部に衝撃を受ける場合のリスクを理解できました。

特に高齢者では、そのリスクが上がることも知っておかなければいけません。

 

このリスクから考えても、理学療法士として転倒予防を進めることは重要です。

 

参考:

『病気がみえるvol.7脳・神経 第1版』岡庭豊.メディックメディア.2015

※わかりやすいイラストと多すぎず少なすぎない情報量で入門書として最適の書籍です。以前でしたら数冊の情報を統合しないと得られなかった知識をまとめてくれているのでコストパフォーマンスにも優れています。より理解を深めたい人にはぜひおすすめです。理学療法士だけではなく、福祉施設で働く柔道整復師鍼灸師にもおすすめの書籍です。

【理学療法士】人工呼吸器(レスピレーター)ってどんなもの?気管挿管、気管切開、NPPVの違い。

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「人工呼吸器」ってどんなものをいうのでしょうか?

人工呼吸器=レスピレーターともいいます。

 

僕はいまいち人工呼吸器ってどんなものか、はっきり分かりませんでした。

人工呼吸ってマスクみたいなものをつけるやつ?気管挿管とかは?いろいろ疑問がありました。

 

じつは一口に人工呼吸器といっても、気管挿管や気管切開に加えて、NPPVというマスクによるものもあったりします。これらはすべて人工呼吸器です。

 

今回は人工呼吸器ってどんなものなのかまとめてみます。

 

 

人工呼吸器ってどんなもの?

患者さん自身の呼吸(自発呼吸)では、「酸素(paO₂)や二酸化炭素(PsCO₂)が正常範囲に維持できない場合」に適応されます。

このような呼吸機能に問題を抱えている患者さんに対して、外部からの補助で呼吸を管理する装置の総称です。

 

どんな人が適応になるの?

「酸素や二酸化炭素が正常範囲に維持できない場合」とは、要は呼吸不全の状態です。

呼吸器疾患を始め、術後などあらゆる呼吸不全が起こりうる場面で適応されます。

 

どんな経路があるの?

大きく分けると

 

気管挿管(口から気管に通す方法)

②気管切開(気管を切開して、喉から気管に通す方法)

③非侵襲的陽圧換気:NPPV(マスクによる侵襲のない方法)

の3つがあります。

 

①と②は合わせて侵襲的陽圧換気:IPPVとも言います。

 

気管挿管

緊急時に行われる場合が多く、手術時などに用いられたりします。

迅速で確実に気道を確保できる方法です。

 

ただし、口から気管に送り込むため、抜去時の事故や肺炎のリスクがあります。

そのため長期間実施する場合は、気管切開が選択されます。

 

気管切開

2週間を越える長期間になる場合、気管切開が選択されます。

 

切開といっても、呼吸管理終了後にはその穴を塞ぐことができます。

気管挿管時のリスクがなく、長期間の確実な呼吸管理が必要な場合に適しています。

 

非侵襲性陽圧換気(NPPV)

先ほどの2つとは違い、マスクによる人工呼吸を言います。

ドラマとかでよく見るので、これが一番人工呼吸器のイメージに近いのではないでしょうか。

 

非侵襲性とあるように、マスクを装着するだけなので人体への侵襲はありません。

呼吸苦のある人に適応となりますが、マスクであるため不快感があるのがデメリットです。

 

COPD心不全(心原性肺水腫)のような症例では、ファーストチョイスとなります。

病態に合わせて人工呼吸(陽圧換気)の種類があり、CPAP(気道内の圧力を常に一定にする)やIPAP(吸気の時にかかる陽圧)、EPAP(=PEEP・呼気時にかかる陽圧)などがあります。

これらを基本とした様々なモードが選択可能で、CPAPモード、Sモード、Tモード、S/Tモード、PCVモードなどがあり適切に呼吸をサポートできます。 

 

目的

①ガス交換能の改善

②排気量の増加

③無気肺の改善・予防

④低酸素血症の改善

 

人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)

人工呼吸器を長期間使うと、呼吸筋を使わない期間が長くなり廃用性の筋力低下が起きたり、自発呼吸が難しくなったりします。

そのため呼吸筋の筋力増強や自発呼吸の再学習を行い、徐々に人工呼吸から離脱していく必要があります。

 

在宅酸素療法(HOT)とは

先ほどまでの方法は医療施設での呼吸管理の方法となります。

しかし、退院しても呼吸の問題を抱える患者さんはたくさんいます。

 

特に今まで血中の酸素濃度(SpO₂)の値が低くて、退院できなかった人に対してこのHOTの存在は大きなものとなります。

 

これがあることで、在宅でも酸素吸入ができるようになり、呼吸の問題を抱えても退院できるようになりました。

 

HOTの特徴は、「鼻カニューレ」というものを装着して、鼻から酸素を吸入します。

よく施設などで、酸素ボンベと共に鼻にチューブをかけている人を見かけると思いますが、これがHOTです。

 

人工呼吸器と酸素療法の違い

人工呼吸器と酸素療法は何が違うのでしょうか。

 

HOTは酸素療法という名前のとおり、単順に高濃度酸素を送るだけです。

 

それに対して、人工呼吸器は圧力を調整しながら肺に空気を送り込む機械です。なので陽圧換気といいます。

その際、酸素も一緒に送ることができますが、あくまで圧力をかけて呼吸を補うことが中心となります。

 

まとめ

今回は人工呼吸器についてまとめてみました。

理学療法士は様々な場面で、呼吸の問題を抱える方との出会います。

そのため人工呼吸器とも関わる場面が多くなります。

 

理学療法士として、人工呼吸器の経路による名称の違いやメリットデメリットを知っておくことは重要です。

【理学療法士】脳卒中のリハビリってどんなことするの?

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脳卒中といえば麻痺のイメージがあると思います。

しかし、じつはそれだけではありません。脳卒中では病態によって様々な症状が現れます。

 

そのため、リハビリを進めるためには、まず脳卒中の病態を理解して、患者さんの状態を把握することが重要です。

今回は「脳卒中のリハビリ」や「脳卒中の病態」について、概要をまとめてみました。

 

脳卒中のリハビリってどんなことするの?

理学療法士が行うリハビリの多くは整形外科疾患と中枢疾患になります。

その中枢疾患で最も多いのが脳卒中です。

 

脳卒中とは脳出血脳梗塞クモ膜下出血を総称したものです。

要は脳の血管から出血したり、脳の血管が詰まることです。

血管が詰まるという事は神経に栄養が行かなくなるので、障害された血管に対応する部分の脳細胞が死んでしまいます。

 

これがとんでもない問題を起こしてしまいます。

じつは末梢神経といわれる四肢などの神経は条件を満たせば再生することができます。

ところが、脳や脊髄といったいわゆる中枢神経は再生することができません。

そのため一度細胞が死んでしまうとそのままです。

 

なので重篤な後遺症が起こることになります。

例えば身体の運動をコントロールしている部分がやられたら、手足が麻痺したりします。他にも言語をコントロールしている部分がやられると、言葉を話せなくなったり、言葉を理解できなくなります。

 

脳は様々な身体の機能をコントロールしているので、障害される場所によって複雑な症状が現れます。そのことについては以下の記事に書いています。

pthari.hatenablog.com

では脳細胞は再生しないのに、なんでリハビリで脳卒中の症状は改善するのでしょうか?

これには諸説あります。

 例をあげると、

①上位の中枢が障害されると下位の中枢がそれを補う(階層的機能再現説)

②中枢神経が障害されると神経の連絡路を通じて「遠隔部の神経細胞」の機能も抑制される。その抑制が時間がたつにつれて解除され機能が回復する(機能解離説)

③障害された脳の周辺や反対側の対応する部分が機能を代行してくれる(機能再組織説)

 

などの説があります。

 

どの説も脳神経の細胞が回復するのではなく、周りの神経による補填や、まだ生きている部分の細胞の回復といった周辺の状況変化による回復です。

 

そのため、回復には限界があります。

また、脳の「どの場所」が「どの程度」障害されたかで、同じ脳卒中といえども重症度は全く違います。

なので、どれくらい早く病院に搬送されたのかも回復の限界点に大きく影響してきます。

この条件によってリハビリのゴールも変わってくることになります。

 

また、上記のような「脳の回復」という観点だけでなく、早期のリハビリは「合併症予防」に効果が高く、急性期では特に重要視されています。リハビリ病院のような回復期の病院だけでなく、救急をとっているような急性期の病院でもリハビリは行われます。

 

そしてリハビリの役割で、もっとも重要なのが「廃用症候群の予防」です。

じつは脳の問題だけなく、廃用症候群によって日々身体機能は低下してしまいます。

回復を促しながら、廃用の進行を食い止めることもリハビリの重要な役割です。

 

以上のような内容のリハビリを行い機能が回復したら、次はその能力をつかってどう生活するのかを考えていきます。

例えば麻痺した側を治すことより、使える側の手足の使い方を指導することが重要な場合もあり、患者さんの状態を総合的に考えて今後を予測します。

 

様々なことを総合的に判断して、最終的に患者さんが退院後の生活で困らないようにサポートすることがリハビリの仕事です。

 

では、そんなリハビリを行う脳卒中ってそもそもどんな疾患なのでしょうか。

以下にまとめてみます。

 

そもそも脳卒中って何?

脳卒中は「脳血管障害」ともいわれます。

血管が詰まったり、血管から出血したりして、突然に脳の症状がでるものを総称したものです。

 

脳卒中は、出血性脳卒中と虚血性脳卒中に分かれます。

①出血性脳卒中・・・脳出血クモ膜下出血

②虚血性脳卒中・・・脳梗塞(脳血栓・脳塞栓)

 

 以下にそれぞれ説明していきます。

 

脳出血

脳内の血管から出血することです。

この出血の主な原因は高血圧です。高血圧は生活習慣との関わりが強いため、生活習慣病もリスクになります。

脳内で出血してしまうと、出血が血腫となり脳を圧迫してしまいます。これにより、脳の症状がでてしまいます。

 

脳出血の好発部位は、①被殻視床③小脳④脳幹(橋)⑤皮質下です。

通常出血が多ければ、血腫除去術という手術で血腫を取り除くのですが、脳幹と視床ではそれが行えません。脳幹は近くに内包という重要な部分があり、視床では生命維持に関わる中枢があるため、侵襲することでリスクがあるためです。

そのため、これらでは重症となる可能性も高くなります。

 

脳出血は典型的な運動麻痺や感覚障害、失語などの症状が生じます。

とはいえ、その症状は出血する場所によって様々です。

どの要素が強くなるかはかなり個人差があります。

 

クモ膜下出血

クモ膜下出血とは、脳の表面にある血管から出血して、クモ膜下腔に至った場合をいいます。

突然の激しい頭痛が特徴とされ、意識障害や頭蓋内圧亢進の症状(嘔吐など)がでます。

原因は脳動脈瘤が80%で、そのほとんどを占めます。その他、脳動脈奇形、もやもや病、外傷も原因となることがあります。

この脳動脈瘤の好発部位は、ウィリスの動脈輪の分岐があるところです。例えば、前交通動脈のところや、内頸動脈から後交通動脈が分岐するところ、中大脳動脈が分岐するところなどです。

 

合併症も重要で、①再出血②脳血管攣縮③正常圧水頭症の三つが三大合併症と言われます。この管理がとても重要になります。

というのも、クモ膜下出血自体では生還すれば後遺症は比較的少ないのですが、これらが起こってしまった場合、脳梗塞などと同じような重篤な後遺症を残すこともあるからです。

 

 【脳血管攣縮】

クモ膜下出血後の4日~2週間以内に生じやすいとされています。そのため離床は、血管攣縮期(2週間)を避けて実施する必要があります。またリハビリでは運動誘発性の高血圧に注意が必要です。

 

この脳血管攣縮がなぜ危険かというと、約半数に脳梗塞が出現するためです。

クモ膜下出血で生還してもその後、脳梗塞の後遺症に悩まされるケースも少なくありません。

 

 【正常圧水頭症NPH

クモ膜下出血の慢性期によく起こるとされています。

脳室は拡大するのに、髄液の圧は正常範囲に保たれている成人の水頭症です。

実際は髄液圧がやや高値になることも少なくないようですが、一般的な特徴は上記になります。

 

初発しやすい歩行障害に加え、認知症、尿失禁の三徴候が有名です。

画像と症状に加え、CFSタップテストという髄液を抜いてみて症状が改善されるかをみるテストで診断されます。

 

これがなぜ重要かというと、歩行を評価することの多い理学療法士が、見つけることがあるからです。急な認知症や歩行障害には注意する必要があります。

もし、CFSタップテストで症状が改善した場合、髄液シャント手術が行われます。

 

脳梗塞

脳梗塞とは、アテローム血栓脳梗塞ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症の三つがあります。

また、脳梗塞はその発生の機序から、

血栓性機序(脳血栓

②塞栓性機序(脳塞栓)

③血行力学性機序

の三つに分けられます。

「脳血栓」はラクナ梗塞とアテローム血栓脳梗塞でみられ、「脳塞栓」は主に心原性脳塞栓症やアテローム血栓脳梗塞でみられます。

 

【脳血栓

脳自体の血管に動脈硬化がある場合をいいます。

疾患としては、ラクナ梗塞とアテローム血栓脳梗塞のことをいいます。

 

ラクナ梗塞」とは、細動脈がつまった場合をいいます。細い動脈とは穿通枝の末端のことで、つまる動脈が小さいので小さな梗塞となります。直径15mm以下とされています。そのため少しであれば症状が無いこともあります。

高血圧のある高齢者で多く、たくさん起こると脳血管性認知症やparkinson症候群の原因となったり、場所によっては軽度の運動麻痺、感覚障害などが起こることもあります。

比較的軽症の脳梗塞です。

 

「アテローム血栓脳梗塞とは、大動脈がつまった場合をいいます。主幹動脈といわれるメインの動脈がつまっておこります。例えば内頚動脈や椎骨動脈・脳底動脈、中大脳動脈などです。要はウィリスの動脈輪に含まれるようなメジャーなところがつまります。

そうすると、そこからの枝すべてに血流がいかなくなるので、ラクナ梗塞に比べて大きな梗塞になります。

そのためいわゆる典型的な運動麻痺や感覚障害、失語などが生じます。その症状は詰まる動脈によって様々です。

アテロームとは動脈硬化のことで、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喫煙者などの生活習慣病がある人がリスクになります。アテロームにより血管が狭くなり、それにより血流が滞留して血栓ができます。

 

動脈硬化から起こるため、徐々に進行していく傾向があり、いきなり詰まるのではなく、詰まった後に開通する場合もあります。その場合、「一過性脳虚血発作:TIA」といい、これがみられればすぐに病院へいく必要があります。

 

またアテロームが形成された部分を補うために、側副血行路が形成される場合もあります。その場合は血圧低下により虚血状態になっただけでも、脳梗塞になる場合があり注意が必要です。これを「血行力学性機序」といいます。

 

 

【脳塞栓】

脳自体の血管に動脈硬化がない場合をいいます。つまり、脳より手前の血管に動脈硬化があって、そこから血栓が飛んできて詰まるものをいいます。

 

先ほどのアテローム血栓脳梗塞でも、脳内の血管がアテロームで狭くなっているところに血栓が飛んできて詰まる場合があります。

 

そしてもう一つ重要なのが、「心原性脳塞栓症」です。これは、心房細動が原因で血栓が作られて、それが脳内に飛んで詰まる場合を言います。

これはアテローム血栓脳梗塞と違い、急激に詰まって完成するため、側副血行路も形成されておらず、重症になることが多いと言われています。

そのため、不整脈(心房細動)や弁膜症などの心疾患を持っている人と非常に関わりが深い脳梗塞です。

 

この心原性脳塞栓症は突然詰まるため、血栓を溶かす物質が急激に作られて再開通することがあります。しかし脳梗塞によって弱くなった血管に、再開通して血流が流れると出血が起こり、より症状が重篤になることがあります。

これを「出血性梗塞」といい、発症数日はリスクとなります。

 

血行力学性機序による脳梗塞

血行力学性機序とは、要は脳灌流圧の低下による脳梗塞です。

 

部位としては「分水嶺領域」で起こりやすいと言われています。

分水嶺領域とは前大脳動脈と中大脳動脈の境界部や中大脳動脈と後大脳動脈の境界部などのことで、分水嶺とは山からの水流の分かれ道のことです。

脳灌流圧が下がった場合、ここが虚血に陥りやすいため脳梗塞ができやすいと言われています。

ここで生じる脳梗塞を「分水嶺領域脳梗塞」と表現したりします。

 

話が脱線しましたが血行力学性機序とは、主幹動脈に狭窄によって血管拡張や側副血行路形成が起こり、それによりかろうじて血流が保たれている状態に、「血圧低下」が加わって起こります。

この状態に血圧低下が加わると、脳血流も低下して、結果的に虚血を起こした部位が脳梗塞になってしまいます。

 

アテローム血栓脳梗塞では、緩徐に進行することが多く、その場合側副血行路が形成されている場合が多いです。そのためこの血行力学性機序がみられる場合があります。

 

ラクナ梗塞でも危ない場合がある

ラクナ梗塞とは通常15mm以内の小さな脳梗塞です。そのため軽度の症状に留まることが多く、早期に離床できます。

 

しかし、このラクナ梗塞の中にはBADタイプという経過の悪いものが存在します。

BADタイプは治療抵抗性で進行性に梗塞巣が大きくなってしまいます。

 

ラクナ梗塞は通常、穿通枝の末端で起きますが、このBADタイプでは根元で詰まってしまいます。そのため、経過とともにそこから末梢に徐々に梗塞巣が広がっていきます。

梗塞巣が大きくなれば、アテローム血栓脳梗塞と同じく、運動麻痺などの後遺症が重篤になる場合があります。

 

また通常のラクナ梗塞であっても、小さな梗塞巣が多発することで重症化する場合もあります。この場合「多発性脳梗塞」と表現されます。

 

ラクナ梗塞といっても一括りに軽症であるとは言えず、経過に注意が必要です。

 

脳循環自動調節能(autoregulation)

健常者では、全身の血圧が変動してもそれに影響されず、脳の血流は常に一定に保たれています。この機能を「脳循環自動調節能」と言います。

脳は虚血が起こると損傷が起きてしまうため、血流が常に供給される必要があります。また、脳の細胞は損傷すると回復できないため、この「脳循環自動調節能」とても重要になってきます。

 

しかし、脳卒中の急性期では病巣とその周辺部でこの機能は障害されます。そのため全身の血圧変動に脳血流が影響されるようになってしまいます。

つまり全身の血圧が下がれば脳血流も一緒に下がってしまいます。

脳血流が下がるということは、虚血になっている病巣やその周辺の血流がさらに低下し悪化を招きます。

 

例えば脳梗塞の急性期などでは、血圧を高めで維持するなどのリスク管理が必要になってきます。

急性期では、血圧が下がると、脳の損傷が悪化してしまう場合があることを知っておく必要があります。

 

片麻痺はどの疾患で起こるの?

典型的な脳の症状といえば片麻痺をイメージする人も多いと思います。

この片麻痺は、運動麻痺によっておこります。

脳卒中の中でも較的大きな損傷となる脳出血やアテローム血栓脳梗塞、心原性脳塞栓症などにより起こる場合が多くなります。

これらの原因により、運動神経の経路のいずれかに損傷があった場合、その反対側の上下肢に片麻痺を呈します。

 

まとめ

今回は、急性期における脳卒中のリハビリの概要と脳卒中の病態についてまとめました。

脳卒中では病態により様々な症状が起こり、急性期ではそのリスクを管理しながら安全にリハビリを行えるということ自体が、医療職としての重要な役割になります。

 

知識がなければ、安全に動かすことはできません。

この時期を脱して、廃用をできるだけ抑えた状態で回復期病院などにバトンタッチします。

そして回復期病院では、より積極的なリハビリが行われます。

状態がある程度安定しているため、ここからが本格的なリハビリとなります。

 

参考:

『病気がみえるvol.7脳・神経 第1版』岡庭豊.メディックメディア.2015

 

脳卒中のリハビリについてより臨床的なことは、以下の理学療法士Takaさんの記事が非常に勉強になります。

臨床経験がないと書けないポイントをおさえた内容に加えて、おすすめの書籍なども紹介してくださっていて、とても読みやすいのでおすすめです。

www.pttaka-rinsho.com

【まとめ】鍼灸師の転職について考えてみた。どんな就職先があるの?

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以前も書きましたが、鍼灸師には就職難という現状があります。

しかし、他の資格を持ちながら追加で鍼灸師を目指すという人が多く、必ずしも鍼灸師として就職する必要がありません。そのため、この就職難についてはあまり一般には知られていません。

 

鍼灸師の技術や知識はとても素晴らしいのですが、現状はなかなか厳しいと言わざるを得ません。

そのことについては以下の記事に書いています。

pthari.hatenablog.com

しかし、それでも志が高く、鍼灸師としてどうしても食べていきたいと思っている人もきっといると思います。

それほど鍼灸って神秘的で魅力のある世界なのも事実です。

 

今回は鍼灸師として転職する場合、どんな選択肢があるのか考えてみます。

 

 

 

どんな選択肢があるの?

鍼灸師としてどんな職場があるのでしょうか?

考えてみましたが、以下のような選択肢があると思います。

 

鍼灸

②クリニック・病院

③訪問鍼灸

鍼灸整骨院

⑤美容鍼中心のサロン型鍼灸

⑥スポーツ鍼灸中心の鍼灸整骨院

福祉施設(デイサービスや特養など)

 

今回はこれらの職場ついて、順に説明していきます。

 

鍼灸

純粋な鍼灸院です。いわゆる東洋医学を基礎とした、鍼灸師としての本道です。

鍼灸院は厳しい現状があり、また修行という伝統的な側面があるため、どうしても待遇面は期待できない場合が多いです。

 

しかし、開業を目指す人が学ぶ環境としては最適です。

自費で純粋な鍼灸院として成功しているということは、その技術だけでなく経営のノウハウも学べるため、投資と考えて勤めるのも一つの選択肢かもしれません。

 

クリニック・病院

鍼灸を取り入れているクリニックや病院も存在します。

その求人の少なさから狭き門ではありますが、医師とともに働けることで勉強にもなるし、待遇面もある程度は保証してもらえる場合が多いと思います。

もし、運よく勤められる機会があればおすすめの職場になります。

 

訪問鍼灸

鍼灸院や鍼灸整骨院の中には、訪問鍼灸を中心としているところもあります。

自費での訪問だけでなく、医師の同意があれば健康保険を使って施術ができます。

 

訪問鍼灸を中心で経営が安定しているところは、比較的待遇もよい傾向があります。

また、開業を目指す場合でも、訪問鍼灸のノウハウを学べるのでメリットがあるといえます。

 

鍼灸整骨院

おそらく一番求人数が多いのが鍼灸整骨院ではないでしょうか。

鍼灸整骨院とは、柔道整復師鍼灸師が働く職場になります。

 

鍼灸を実施できる機会が多く、数をこなすことができる傾向にあります。その反面、じっくり患者さんと向き合えないなどの不満もよく耳にします。

 

また、東洋医学的に基づいた鍼灸はなかなか難しいという部分もあります。

柔道整復師は整形外的な知識をベースとしており、東洋医学は全く学びません。そのため純粋な鍼灸院に比べ、東洋医学の要素が薄いことも多々あります。

 

それでも自分次第で東洋医学をしっかりと実践することも可能ですが、ある程度他の施設で学んできた経験がないと難しいかもしれません。

東洋医学を学べると思って就職すると、期待外れだったという話はよく聞きます。

 

鍼灸整骨院といっても職場によって特徴が全然違うので、一括りにはできないところがあります。

勤める場合は自分が求めていることができるのか、または学べるのか、しっかり調べてから勤めることをおすすめします。

 

美容鍼中心のサロン型鍼灸

エステサロンと一体となった形の鍼灸院も最近増えてきました。

鍼灸院として東洋医学を中心とした施術も行っている場合が多く、ハイブリッドな次世代型の鍼灸院という印象です。

 

東洋医学の神秘性と美容は親和性が高く、もともとエステの技術や資格を持つセラピストが開業している印象があります。

女性を中心とした患者層になるため、女性鍼灸師でないとなかなか勤務は難しいかもしれません。

 

美容鍼灸については賛否両論ありますが、閉鎖的だった鍼灸が一般に広まるきっかけになっています。多くの芸能人の方が利用され、鍼灸の分野の中で話題性は一番高いといえます。

開業のためのスキルアップにもなりますし、このような職場に勤めてみるのもいい経験になるかもしれません。

 

スポーツ鍼灸中心の鍼灸整骨院

スポーツの分野は目指す人も多い反面、本当にスポーツ中心でやれている人は少ない現状があります。

しかし、鍼灸整骨院であれば外傷の患者さんに対して保険適応できるため、コンディショニングに鍼灸を取り入れている院も多くあります。

 

鍼灸師としてスポーツ専門でやっていくには、とても厳しい現状があります。というのもスポーツの分野では、鍼灸師個人に顧客がついています。

スポーツの世界では、結果に対してとてもシビアなので、スポーツ選手同士の評判が重要になってきます。

そもそもスポーツ選手に知ってもらえるのに営業力もいりますし、知ってもらったとしてもそのチャンスを生かすための技術もないといけません。そのため個人の力がかなりないとやっていけません。

 

ある程度顧客を持っている鍼灸師につくことができれば、道は開けるかもしれませんが、仕事として学ぶといより、ボランティアとして補助に入って勉強させてもらうという場合が多いと思います。

 

こういった背景から、最初はスポーツに特化した鍼灸整骨院で学ぶというのが、比較的容易にスポーツに関われる道かもしれません。

スポーツに特化してこれから仕事をしていくには相当の覚悟がいります。

 

働きながらATや柔道整復師などの資格をとり、キャリアアップしていくなどもおすすめです。

資格取得は勉強にもなりますが、なにより人脈が増えます。

スポーツでやっていくには人脈も大事になってくるため、資格をとって他の業界との関わりを作ることも一つの方法であると思います。

 

福祉施設(デイサービスや特養など)

これは今までは選択できなかった職場ですが、今年から鍼灸師も機能訓練指導員として勤めることができるようになりました。

詳しくは以下の記事に書いています。

pthari.hatenablog.com

デイサービスなどの福祉施設は、待遇面でも安定しているところが多くとてもおすすめです。

全く経験が無い人はイメージがつかないと思いますが、様々な疾患を経験できるメリットがあり、多くは定時で帰れるため勉強時間も確保できます。

また鍼灸師として勤める場合、給料面でも比較的安定している方に入ります。

 

柔道整復師のおすすめの転職先としても紹介したことがありますが、鍼灸師にもおすすめの職場です。

 

ただし、ひとつ注意してほしいのが「鍼は打てない」という最大のデメリットがあります。そのため、勉強時間を確保するためなど、期間を決めて勤めることがおすすめです。また、鍼灸師の厳しい待遇に悩んでいる方にもおすすめです。

開業を目指す人でも、福祉のことなど鍼灸以外のことに多く触れられるため、決して無駄にはならないと思います。

勤めている人に話を聞いたり、見学してみるともしかしたら選択肢に入るかもしれません。

ぜひ敬遠せずに、選択肢に入れてみてください。

 

まとめ

今回は、鍼灸師の転職先について考えてみました。

就職難とはいいましたが、選ばなければ就職はできます。

 

ただし待遇面と学習環境が揃ったところは、そう多くはないのが現状です。

いろいろな選択肢に目を向けて、目標を持って転職することをおすすめします。

 

柔道整復師に対して書いたこの記事もぜひ参考にしてみてください。

pthari.hatenablog.com