鍼と針の違いは?治療はどんな人がするの?
鍼と針はどちらも「はり」と読むことができます。
正直「はり」のことをネットで検索したくても、どんな字で検索していいか迷いますよね。
治療の「はり」ってどっちを使うのが一般的なんでしょうか?
どんな人がするの?
この「はり治療」はいわゆる鍼灸師という国家資格を持った施術者が行う治療法になります。
国家資格の正式な名前は、「はり師」「きゅう師」といいます。
しかし、はり師きゅう師とは言わずに「鍼灸師(しんきゅうし)」と呼ぶことが多いです。なので資格者の間では以前から「鍼」の方が一般的です。
「鍼」という字の由来は?
この鍼という字の由来には諸説あり、はっきりとはわかっていないそうですが、中国医学やチベットの伝統医学を起源に鍼は日本に伝わったという説を聞いたことがあります。
しかし、現在の中国では「針」の字で統一されているそうです。
・・・それは混乱しますよね。
日本での「針」は、それ以外の針(注射針とか縫い針)の意味も含むので、「鍼」という字に拘ったんでしょうか。
戦後にGHQの圧力で鍼灸が禁止されそうになった時も、この漢字を継続して使うことを貫いたそうです。
最近では「鍼」も知られるようになった
しかし、鍼という字は最近では一般の人にもよく知られるようになりました。
ちょっと前までは、ネットでも「針」での検索が多かったように思いましたが、先ほど「針灸」で検索したら「もしかして:鍼灸」とでて修正されました。
これは一時期ブームになった「美容鍼」がメディアに取り上げられたからではないかと思っています。特に女性によく知られるようになりました。
美容鍼については業界では賛否ありますが、美容鍼ブームは結果的に「鍼」という存在を認知してもらうことに貢献したと思います。
現在の鍼灸の立場
ひと昔前は「はり」や「灸」は民間治療としてよく知られていて、家でも灸をすえる人がよくいましたが、医療が普及した現在では、正直マニアックな治療法というのが現実です。
灸のことは「やいと」と呼ばれていて、「悪いことをしたら灸(やいと)を据える」なんて子供に言っていた頃もあったみたいです。
しかし、医療の普及とともに認知度は下がり、業界も閉鎖的なため日本では昔行っていたマニアックな治療というイメージになってしまいました。
ところが最近になって、鍼灸は新しい展開を迎えています。
「美容鍼」や「スポーツ鍼灸」など新しい言葉が出来だして、一般の人にも知られやすくなってきました。
最近では施術者だけでなく、「お灸女子」などの言葉も造語され、一般の人のセルフケアとしても認知されてきています。
自分の勝手な解釈ですが、この変化はダブルライセンスの流れも手伝ったのではないかと思っています。
例えば、美容鍼の流れからエステと併用する人が増えたことや、鍼灸整骨院が増えたことが関係しているように思います。
「弟子入りして鍼灸院で働き一流の鍼灸師を目指す」ことが唯一の方向性だった業界に、他職種から目指す人が現れたことで様々な方向性が模索され、現在の変化があるような気がしています。
たしかに鍼灸と関わりの深い「東洋医学」の神秘性は魅力の一つで、その意味ではいい方向ではないかもしれません。本来の鍼灸とは違うということで賛否があるのも知っています。
ですが、個人的には時代に対応して変化していくことも大切ではないかと思います。
職域を広げてニーズを増やすことは、結果的にこれから目指す人の選択肢を増やすことになります。
まとめ
字に関しては使うのはどっちでもよいということになりそうですが、今後は「鍼」で認知が広まっていくと思います。
ネットの検索も「鍼」で知りたい情報が得られると思います。
これから鍼灸がもっと知られて、再び一般的な治療として受け入れられれば嬉しいです。